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三島市の税理士が決算業務でチェックしているポイント


静岡県三島市の税理士、松井元(@hajime_matsui)です。
こんにちは!

法人の決算から2ヶ月後が法人税と消費税の確定申告期限です。

申告のためにはまずは帳簿を完成させなければなりません。

会計事務所の仕事の1つが、この帳簿を完成させることです。

期中12ヶ月分の会計処理の後は、会計事務所で決算処理を行い、帳簿を完璧に仕上げます。

さて、1年間の帳簿を完成させるにあたり、ミスが無いようにチェックしなければならないことがけっこうあります。

今日は、私が帳簿を完成させるにあたりミスを無くすために意識的に行っているチェック内容をご紹介します。

チォックリストを実際に作っています。

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1、三島市の税理士が決算業務でチェックしているポイント

全てをを上げればチェックすべきポイントはもっとたくさんあるのですが、ミスを無くすという観点で以下のことをチェックしています。

◆期末の現金残高が期首より大きく増加していないか
◆預金の帳簿残高が残高証明書と一致していること
◆リース料の支払いで新しいものが増えていたら、リースの処理を忘れていないか
◆リース料の支払いが止まっていたら、継続していないか
◆保険の支払いで新しい種類のものが増えていたら、契約を確認して適切な積立・経費処理を行なっているか
◆役員報酬が毎月一定額であるか
◆貸倒引当金計算時に債権から債務を相殺して計算しているか
◆固定資産の除却があった場合に償却資産台帳と整合しているか
◆車両を売却・除却したときは、リサイクル料を落としているか
◆給料、源泉所得税、社会保険料、住民税などの金額が台帳と一致しているか
◆外注費に作業日当のように給与に該当するものが含まれていないか
◆未成工事支出金を計算する際の顧問先が準備してくれた材料費、外注費の金額が税込であれば税抜に変換しているか
◆未成工事支出金の計算に関係する材料費・労務費・外注費は工事未払分も含んでいるか
◆科目の残高がマイナスになっているものが無いか
◆粗利益率が前年と大きく変わっていないか

1つ1つ説明して行きますね!

期末の現金残高が期首より大きく増加していないか

現金残高が期中にどんどん増加していることは、わりとあります。

実地と帳簿残高の比較は必要です。

特に大きくずれている場合は、何か費用の計上が漏れている可能性が高いです。

あるいは、社長個人からの借入金を返済したけれど、記帳していなかったというような場合もあるでしょう。

預金の帳簿残高が残高証明書と一致していること

預金の帳簿残高が残高証明書と合っていることを確認します。

これも確実に合わせなければならないものです。

freee などのクラウド会計ソフトを使っている場合であれば、データが連携するのでほぼチェック不要です(それでも目視はしますが)。

また、クラウド会計でなくても CSV データをインポートしている場合であれば、確実に一致します。

リース料の支払いで新しいものが増えていたら、リースの処理を忘れていないか

リース料の支払いが新しく増えていたら、新規で契約をしていることになるので契約書の確認が必要です。

そして、契約時に前払費用、未払金の両建てして、消費税分を一括で仕入控除税額とする処理を処理を確実に行うようにしています。

例えば、リース料総額が 1,944,000円(税込)の場合、契約時には次のように処理します。

リース契約時仕訳

リース料の支払いが止まっていたら、継続していないか

期中にリース料の支払いが止まっている場合があるので、その場合は理由を確認するようにしています。

リース期間が満了して既にリース品を戻している場合であれば、何もしなくても大丈夫です。

ただ、リース期間の途中に契約を変更して、支払額が変わっているだけの場合もあります

その場合は、契約変更の処理をするようにしなければなりません。

保険の支払いで新しい種類のものが増えていたら、契約を確認して適切な積立・経費処理を行なっているか

保険の支払いが新たに増えている場合、期中の処理は全額費用処理している場合が多いですが、契約書を確認する必要があります。

全額費用(損金)処理できるものだとは限らないからです。

保険料の半分を積立にしなければならないような場合や、他にも保険期間に応じて積立額が変わるものもあります。

役員報酬が毎月一定額であるか

役員報酬は基本的には年に1回、決算から2ヶ月以内に行う定時株主総会でしか変更できません。

そして、そこから1年間は毎月同額にしなければいけません。

期中に報酬額が増減していないか、念のための確認が必要です。

増減には適切な理由がなければなりません。

例えば、役員が新たに加わって報酬が発生した場合や、役員の一人が社長に就任するなどして途中で報酬を増額したような場合であれば問題ありません(臨時株主総会の決議で決議している必要はあります)。

貸倒引当金計算時に債権から債務を相殺して計算しているか

貸倒引当金は、期末の債券の総額に業種ごとに定められた法定繰入率を掛けて計算します。
(↑普通の取引先に対する債権の場合です。)

その際に、債券がある取引先に対して債務がある場合は、その債務の金額を債券の金額から差し引きした上で法定繰入率を掛けなければなりません。

債務の差し引きを忘れていないかチェックするようにしています。

債務は買掛金、未払金、支払手形、前受金などです。

建設業の場合には、工事未払金、未成工事受入金も債務に含まれます。

固定資産の除却があった場合に償却資産台帳と整合しているか

固定資産を除却している場合には、帳簿上の処理だけでなく固定資産台帳からもちゃんと除却してあるか確認するようにしています。

除却がなくても、帳簿と固定資産台帳での各資産の残高の一致は確認が必要です。

車両を売却・除却したときは、リサイクル料を落としているか

リサイクル料は車両を購入したときに資産(仮払金など)として計上します。

売却・除却したときにはリサイクル料を落とさなければなりません(帳簿から消す)。

売却のときは売却代金にリサイクル料分も含まれると考え、除却の場合は費用化します。

車両を売却・除却した場合には必ず該当する車のリサイクル料が帳簿から消えているかチェックしています。

給料、源泉所得税、社会保険料、住民税などの金額が台帳と一致しているか

帳簿に計上する給料と、給料台帳の金額が一致していることを確認しています。

天引きされる源泉所得税、社会保険料、住民税もチェックが必要です。

会計 freee を使っている場合は、給与計算 freee と連携できるので楽です。

外注費に作業日当のように給与に該当するものが含まれていないか

これは建設業のように外注に業務委託する業者に限ってのことですが、

個人への外注費の支払いがある場合には内容を確認するようにしています。

従業員への作業日当のようなものの場合は、給料として処理しなければなりません。

消費税の計算上、消費税分を差し引きできません(仕入控除税額にならない)。

財務調査でも確実に見られるポイントです。

未成工事支出金を計算する際の顧問先が準備してくれた材料費、外注費の金額が税込であれば税抜に変換しているか

これも建設業の場合のはなしですが、未成工事支出金の計算を行うにあたり、

顧問先から期末に未完成の工事分の材料費、労務費、外注費の連絡を受けます。

未成工事支出金を計算する場合にはすべて税抜金額を使わなければならないので、連絡を受けた材料費と外注費が税込か税抜か? チェックするようにしています。

労務費は必ず税抜なので、そこはチェックの必要ありません。

未成工事支出金の計算に関係する材料費・労務費・外注費は工事未払分も含んでいるか

未成工事支出金の計算には、材料費・労務費・外注費のうち工事未払に該当する分も含めて計算する必要があります。

工事未払分を計算に入れ忘れていないかチェックするようにしています。

科目の残高がマイナスになっているものが無いか

科目の残高でマイナスになっているものがないか? チェックするようにしています。

当座預金勘定は当座借越がある場合にマイナス残高になることもありますが、他の科目は基本的にプラス残高でなければなりません。

粗利益率が前年と大きく変わっていないか

帳簿全体のチェックが終わってから粗利益率を見るようにしています。

前年と大きく変わっていないかチェックするようにしています。

大きく変わっている場合には、必ず理由を確認するようにしています。

2、まとめ

私が帳簿を完成させるにあたりミスを無くすために意識的に行っているチェック内容をご紹介しました。

チェックしていることを上げればもっと出てきます。

今日、お話しした内容は過去にミスした経験などから、チェックリストを作って意識的に注意している部分です。

編集後記

この3連休は遠出はせずに、基本的に家にいました。

読めていなかった本を読んだり、色々と調べものができたりで満足できました。

今日は仕事です。