個人の確定申告では、1年間の収入に基づいた所得から所得税を計算します。
所得の種類は全部で 10種類あります。
今日はその中の1つである不動産所得についてお話しします。
不動産所得とは土地、駐車場、事務所、アパート、マンションなどの不動産を賃貸に出して得る収入による所得を言います。
次のように計算します。
不動産所得 = 不動産収入 - 経費(等)
1、不動産所得として確定申告をしなければならないケース
土地、駐車場、事務所、アパート、マンションなどを賃貸に出して収入を得ている人は不動産所得があることになります。
そして、次に当てはまる人は所得税の確定申告をしなければいけません。
②同族会社の役員などで会社から不動産収入を受け取っている人
③上記①、②以外で不動産所得がある人
①会社から給料を貰っている人で不動産所得が20万円を超える人
年末調整を受けたサラリーマンで、給料以外の所得が 20万円を超える人は確定申告が必要です。
*年末調整を受けていない場合は20万円以下でも確定申告が必要になります。
不動産所得もその給料以外の所得の1つとして当てはまるということですね。
なお、給料以外の所得として、不動産所得のほかにも所得がある場合はそれも併せて 20万円を超える場合となります。
例えば 給料、不動産収入、年金がある人であれば
不動産所得(不動産収入による所得)と雑所得(年金による所得)の合計が 20万円を超える場合に確定申告が必要となるということです。
②同族会社の役員などで会社から不動産収入を受け取っている人
中小企業では役員の自宅を会社の事務所としている場合がよくあります。
このような場合、役員は会社から賃貸料(不動産収入)を貰うわけですが、金額の大小にかかわらず必ず確定申告が必要になります。
(不動産所得にしたときに 20万円を超えていなくても確定申告が必要)
③上記①、②以外で不動産所得がある人
不動産収入だけで生活している人は当てはまります。
また、不動産収入と年金があるような場合も当てはまります。
2、不動産所得は青色申告できる
不動産所得がある人は青色申告をすることができます。
青色申告には以下の特典があります。
・損失の3年間繰り越し(翌年以降の利益からマイナスできる)
・貸倒引当金の経費算入
・30万円未満の固定資産の即時償却
・青色申告特別控除を受けることができる
青色申告特別控除は 10万円または65万円のいずれかになりますが、65万円の控除を受ける場合には不動産貸付が以下の数の基準を満たす必要があります。
(事業性があり事業税の対象となる場合)
・アパート、マンションは 10室以上
・駐車場は 50台以上
3、不動産収入・経費
不動産収入・経費についてお話しします。
不動産収入
不動産収入は賃貸料のことです。
12月末時点で未収の場合でも、1年間の不動産収入に含める必要があります。
(現金主義の届出を出していれば、未収入の分は含めなくても良いです。)
経費
経費になるものとしては、主に以下のようなものがあります。
②減価償却費
③修理代
④管理料
⑤保険料
⑥税理士などへの報酬
①固定資産税
納税通知書が市町村から送られてきます。
なお、市町村にある固定資産すべてについての税額が記載されていますので、該当する固定資産(賃貸しているもの)の分だけ抜き出しましょう。
納税通知書は、しっかり保管しておきましょう。
②減価償却費
建物は減価償却をする必要があります。
ざっくり言えば、取得価額を耐用年数で割った金額が1年間の減価償却費になります。
③修理代
アパートやマンションを賃貸している場合に、内装を変更したり、原状維持のために修理することがあります。
その修理代は経費となります。
修理は規模が大きいと金額がかさむため、どうしても赤字になりやすいです。
④管理料
管理会社に不動産の管理を委託している場合には管理料を支払う必要があります。
⑤保険料
賃貸している建物の損害保険、地震保険などが該当します。
なお、地震保険に加入している場合に、保険会社から地震保険の控除証明書が届く場合がありますが地震保険料控除を受けることはできません。
地震保険料控除を受けれるのはあくまで自宅を対象として加入した地震保険についてです。
⑥税理士などへの報酬
税理士への前年分の確定申告の報酬や、司法書士への登記依頼の費用などが該当します。
4、まとめ
不動産所得がある人の確定申告について書きました。
自分が確定申告が必要なのか確認頂き、必要であれば対応して頂きたいと思います。
編集後記
昨日(2/12)は午後から記帳指導のために伊豆市へ。
減価償却費の計上の仕方を中心に始動させて頂きました。
使われている会計ソフトは freee です。
この地域でもクラウド会計がもっと広まると良いと思うんですけどね。