今日は、メーカー勤務時代のはなしを少々。
なんか、最近こういうネタが多いですね。
組織の中でよく、「この会社でやれたからどこでもやれる!」
という間違った思い込みを持っている人がいます。
そして、大きな企業で働いている人ほどそういう思い込みがあるように感じるのです。
かく言う私も、当時決して偉そうに人のことは言えるような立場ではありませんでした。
しかし、だからこそ大企業にいた当時を振り返ってお話しできることがあると思うのです。
1、外の世界を知らないという事実に気付かない
いわゆる大企業だと、社内に人の数がすごく多いです。
1つの部署だけでフロアに 120人ぐらいの人がいました。
1つのビルの中にはいくつもの部署があるので、1つの建物の中だと 1,000人ぐらいはいたんじゃないですかね。
本社全体になるともっと多く、本社以外の拠点もあるわけですね。
それだけ会社が大きいと、必然的に同じ会社内での仕事が多くなるわけです。
社内でも別の建物の中で会議したり、他の拠点に出張に行ったりします。
そうですねぇ、他の拠点と行き来するのに今現在の自分の環境で言えば、三島市から伊豆市ぐらいの距離の移動は頻繁にしていたと思います。
(知らない方すみません。)
会社の中だけで1つの社会ができているわけですね。
それなりに厳しく、部署間のぶつかり合いもあり大変な思いをし、日々夜遅くまで残業するわけです。
年数が経てば確かに仕事の能力が上がってくる実感もあるので、当時の自分も含めて勘違いする人が出てくるんです。
「この会社でやれているからオレはどこでもやれるんだ!」
って。
今思えば自分も周りもおかしいですよね。。
だって新卒で会社に入って年数が経ったとはいえ、たった1つの会社にしか勤めてないのに何で「どこでもやれる!」って思うんでしょうか?
理由は、会社が大きくて人がたくさんいる環境なので、実際の外の社会を見ているような錯覚をしてしまうからでしょう。
厳しい環境での出来事で自分が鍛えられることなら確かにありますけど。
2、大企業を一歩出たらただの「一個人」
よく考えて頂きたいのですが大企業の中の仕事をそれなりにやれるようになるのは
「同じ会社内で協力する体制ができているから」
です。
そりゃ、部署間のぶつかり合いなどはありますけど、基本的には皆協力し合います。
外部に対する信頼だって会社あってのことです。
「大企業」という看板があるからこそ、下請け企業も動いてくれるわけです。
信頼関係を築いて仕事をしているようでも、自分に対する信頼ではなく「大企業」という組織に対する信頼なんですね。
そこを履き違えてはいけないんです。
部長などの役職だって大企業というバックボーンがあってこそのものです。
当時の同僚が、「大企業の部長は、中小企業の社長ぐらいの仕事はしてるよね〜」って言っていました。
確かに事業を動かしているところは一緒ですが、大企業の部長と中小企業の社長は、ぜんっぜん違いますよ。
大企業の部長は一切のリスクを背負わないじゃないですか?
毎月給料はちゃんともらえるし、仕事を失敗しても大きなペナルティはありません。
事業に必要なヒト、モノ、カネの三大資源だって全部会社が準備してくれます。
会社に守られています。
それに対して中小企業の社長は、仕事の失敗をすると確実に自分に跳ね返ってきますし、経営に必要なお金だって借金して準備しなければならないことが多いです。
いずれにせよ大企業の整った環境の中で育った人が外の世界に出ると、色んな意味で衝撃を受けます。
いかに大企業というバックボーンが大きくて、いかに個人が無力かを思い知ります。
それは課長であった人も部長であっ人もそうでしょう。
安全な環境でのマネジメントの経験など、外の世界では大して役に立ちません。
外の世界に出たら出たで、過去は関係ないゼロからのスタートです。
3、まとめ
自分は大企業が合わないと思って辞めて、それで正解だったと思っています。
自由度が少なく、仕事の頑張りが結果として分かりにくい環境には不満でした。
私の場合はそう思って辞めましたが、大企業のネームバリューやブランドに大きなメリットを感じている人は辞めない方が良いでしょう。
そういう後ろ盾は会社を一歩出たら一切ありません。
私が「税理士」になれたのも、大企業を辞めてから 5年くらい経ってようやくです。
資格に限った話ではありません。
中小企業に就職したら、そこでの仕事を覚えてやれるようになるまでに時間がかかるでしょうし、
自分で会社を設立したら、それを軌道に乗せるのも超至難の技です。
多かれ少なかれ、個人で何かを背負うことは大変なことです。