日商簿記1級の合格体験と勉強方法

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松井 元(まつい はじめ)

静岡県三島市の松井会計事務所に勤務する理系税理士。 文理両方のスキルの融合を考えており、このブログは以下を中心に更新している。
●税金・会計に関すること
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私は2012年の11月に日商簿記1級を受験して合格しています。

理系出身の私の場合、税理士試験の受験資格を満たすためには、日商簿記1級又は全経簿記上級に合格しなければならなかったのです。

理系の学部卒業でも大学で法律・経済に関する科目を1科目以上取得していれば、それだけで受験資格があったんですけどね、、、残念ながら要件を満たしていませんでした。。
そんなわけで、泣く泣く(?)日商簿記1級を受験することになったのでした。

そして、これが税理士試験の前段であるにもかかわらず、結構のハードルでした。

今日は、当時の記録を掘り起こして日商簿記1級の合格体験と勉強方法について書きたいと思います。
これから、日商簿記1級を受験しようと考えている方に参考になればと思います。

*ちなみに、「法律・経済に関する科目」の履修は社会人になってからでもできます↓
私は、そのことを後から知りました(TT)

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1、合格体験

TAC での受講を始めた時は、まだ前職(エンジニア)に就いており 会計事務所へは転職していませんでした。
会社を退職する決意をすると同時に、勉強をスタートしました。

しかし、最初の4ヶ月(2011年12月~2012年4月)は、 残務が多く満足な勉強時間がとれません でした。
ちょうどその時期、製品の不具合対応などが重なっており、仕事が終わる時間は夜11時過ぎがざらでした。

Web 受講の進捗

TAC での講義は、2011年12月開講⇒2012年11月合格目標の WEB 講義を受けていました。
(余談ですが、以後の税理士試験、税法2科目免除大学院と全ての過程が Web 受講でした。)

日商簿記1級は、商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の4つの科目で構成されています。

講義はまず、最初は商業簿記・会計学から始まります。
ざっと、以下のような配分になっていました。

●5ヶ月間 商業簿記・会計学 No.1~3
●1ヶ月間 休校期間
●5ヶ月間 工業簿記・原価計算 No.1~3
●1ヶ月間 答練

開講中は、週2回講義の Web 配信がありました。

テキスト・問題集は商業簿記・会計学(以下「商会」)、工業簿記・原価計算(以下「工原」) で、別々にそれぞれ No1~3 まであるので、予備校から支給される教材は合計12冊になりました(過去問は別途購入)。

●テキスト 6冊(商会で3冊、工原で3冊 )
●問題集(トレーニング)  6冊(商会で3冊、工原で3冊 )

進捗についてですが、前職の会社の有休消化に入った 2012年4月の時点で WEB 配信は商会のテキスト No3 の 最後の方まで進んでいたのですが、私の受講状況は No2の途中でした。

Web 配信のペースに対して、10回以上遅れている状況でした。

会社を退職して会計事務所へ転職してから、何とか商会の遅れを取り戻すべく急ぎで講義を視聴しました。

商会の配信が終わってから工原の配信が始まるまで1ヶ月間休校期間があったので、その間に何とか講義は視聴し終わりました(講義の受講だけは追いつきました)。

2012 年6月の記念受験

さて、一応試験の雰囲気を味わうために 2012年6月の試験を受けてみました。

もちろん、受かるわけないのは分かっているので超記念受験なんですが、、私としては、受験回数に含めてないです(笑)

まぁ、工原はそもそも Web 講義の配信前ですから全く話にならないのですが、商会は一応講義を全部視聴したし、各々10点ずつぐらいは得点できるかなぁ、、、、なんて考えてました。

しかし、、、甘すぎました。
正解したのが、記号の2問のみ。。

商会工原、全部合わせて、100点中 3~4点しか取れませんでした。
↑リアルな話です。

6月の記念受験後の猛追

さて、6月の記念受験の後11月の試験に向けて約5ヶ月、猛烈に勉強して挽回し実に70点、点数をアップさせました。

私としては、事実上の一発合格ということにしています(笑)

猛追のための方策として、一番効果的だっのは過去問の有効活用です。

私は、過去問をまるで日常的に使うトレーニングなどの問題集のように活用することによって短期合格を果たすことができました。

後に詳しく書きたいと思います。

答練と本試験の点数

答練と本試験の結果の記録が残っていました。

的中答練結果等
・1回目  商 16、会 23、工 21、原15  合計:75点
・2回目  商 16、会 25、工 22、原3   合計:66点
・3回目  商 22、会 14、工 19、原16  合計:70点
・4回目  商 22、会 23、工 12、原17  合計:72点
・5回目  商 20、会 21、工 17、原22  合計:80点

試験結果等
・実際の点数     商 17、会 16、工 22、原 21 合計:76点
・自己採点(TAC)  商 17、会 14、工 24、原 20 合計:75点

2、試験の特性

さて、試験に対する対策をする上で欠かせないのは、試験の特性を知ることです。
これは、どの資格試験でも言えることです。

日商簿記1級がこれまでの 3、2級とどこが違うか 説明したいと思います。

ご存知の方も多いとは思いますが、大きな違いは以下の 2点になります。

(1)相対試験である
(2)足切りがある

(1)相対試験である

日商簿記2級までは、絶対試験です。

つまり70点という合格点があり それ以上の人は全員合格となるわけです。
(試験の難易度によって、合格率は変動する。)

それに対して、1級は相対試験になります。
(一応合格点は70点となっていますが。)

合格率は、10%程度と決まっており、試験後の各問の正答率をみて配点が決められることになります。

すなわち10%程度の人が70点以上になるように、得点調整されるわけです。

予備校式の配点(1問1~2点)で65点程度しか点がなくても、実際の採点では配点に傾斜がかかることにより合格することもあります。

さて、ここで意識しなくてはならないことは、「この試験は試験問題との戦いではなくて、他の受験生との戦いである」 ということです。

試験問題が難しいときなど、予備校式の配点だと 70点を超える人が少ない場合があります。
そうなると上で書いたように得点調整がされるのですが、その場合、全受験生の得点の底上げをすることになるので、簡単な問題に傾斜配点がふられることが予想されます。
(この点、税理士試験の簿記論と一緒だと思います。日商簿記1級は簿記論ほどの傾斜はないと思いますが。)

すなわち、誰もができる簡単な問題を取りこぼすほど 合格が遠ざかっていくということになり、逆に人ができない問題を正解できても合否に影響が無かったりします

ですので他の受験生がどれくらいのレベルで、どの程度の問題なら解けそうか、意識しなければなりません。

(2)足切りがある

日商簿記1級は、商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の4つ
からなり 試験時間は
 商業簿記、会計学   90分
 工業簿記、原価計算 90分

となり 、配点は各25点になります。

しかし、1科目でも10点に満たないものがあると足切りになってしまいます。

そのため、コンスタントに得点する必要があり
「苦手論点を作らないこと」
「時間配分を間違わないこと」

が重要です。

3、対策

時間配分

試験時間は上記のとおり

●商業簿記、会計学    90分
●工業簿記、原価計算   90分

の合計180分です(商会と工原の間に休憩時間があります)。

さて時間配分についてですが、商会、工原でそれぞれ解く順番と時間配分をデフォルトで決めておくと良いです。

私の場合は、商会は「会計学」を先に解き、「商業簿記」を後に解く ようにしていました。

時間配分は

・会計学    35分
・商業簿記   55分

としていました。

一方、工原はいずれか解きやすそうな方を先に解くようにしており

時間配分は

 工業簿記、原価計算 各々 45分

としていました。

答練などを通じて上記の時間配分にするのが解きやすいと感じたのでそのようにしましたが、 どういう解き方が良いかは人によって違うと思います。

自分に合った解き方は、日々の勉強の中で決めるようにしましょう。

ただ、一つ気を付けなければならないことがあります。
それは、最大許容時間とでも言うのでしょうか。

私は商会で、先に解く「会計学」のデフォルトの時間を35分としていましたが、最大40分と決めていました。
そして、40分を超えることは絶対にないようにしていました。

40分まで引っ張るか否かの判断も、35分経った時点であと少しで解き終わる問題をやってる最中など、、、引っ張る意味がありそうな場合だけにしていました。

「会計学」の時間オーバーで「商業簿記」の方に悪影響が出ないようにしていたということです。

足切りを防ぐためにも、先に解く科目の時間配分を誤ることだけは絶対にないようにしなければなりません

足切りで一番多いパターンは、先に解く科目の方で欲張って時間をたくさん使ってしまう場合だと聞きます。

この点、日ごろの答練などでも、時間配分を意識しながら取り組むことをお勧めします!

TAC のテキスト・問題集(トレーニング)

勉強に使った教材は、TAC で講義を受講すると貰えるテキストと問題集(トレーニング)です。
講義はテキストに合わせて進みます。

●テキスト 6冊(商会 No.1~3、工原 No.1~3)
●問題集(トレーニング)  6冊(商会 No.1~3、工原 No.1~3)

テキストを見ながら Web 講義を受講し、講義の中で講師が話した内容はテキストの余白に直接書き込みました。

1回の講義が終わったら、次の講義までの間に以下のことをやるようにしました。

・テキストの復習
・トレーニングの該当する問題を2周

トレーニングは1周では足りないと思います。定着させるためには次の講義までに2周はやらなければならないでしょう。
本試験までには、もっと回さなければなりません。

——————————————
上記の教材は、市販されています。
(自分が勉強していたときは、バージョンはもっと古く、テキストの見た目も冒頭の写真のように白色でした。)

【テキスト】

■商業簿記・会計学 テキスト No1

■商業簿記・会計学 テキスト No2

■商業簿記・会計学 テキスト No3

■工業簿記・原価計算 テキスト No1

■工業簿記・原価計算 テキスト No2

■工業簿記・原価計算 テキスト No3

【問題集(トレーニング)】

■商業簿記・会計学 トレーニング No1

■商業簿記・会計学 トレーニング No2

■商業簿記・会計学 トレーニング No3

■工業簿記・原価計算 トレーニング No1

■工業簿記・原価計算 トレーニング No2

■工業簿記・原価計算 トレーニング No3

過去問の有効活用

先に書いた過去問の有効活用について詳しく書きたいと思います。

私の言う過去問の有効活用とは、過去問を日頃使う テキスト&問題集のように使うということです。

普通は、過去問を解くタイミングは試験直前の十分に学力が 付いた時期という方が多いと思います。

つまり過去問を成果のアウトプットとして活用するということ です。

しかし、私は過去問をアウトプットとしてではなく、むしろ インプットのための教材として利用することで、大幅な得点 アップを果たすことができました(5ヶ月で70点アップ。まぁ、その前が勉強不足で酷すぎるんですけどね。。)

日商簿記1級の本番の試験は難易度が高く、予備校から 配られる問題集(トレーニング)の反復だけでは、正直対応できない と感じてました。

特に工業簿記、原価計算

この2科目の本試験の問題は、本当に深い理解をしていないと 解けないようになっています。
計算のパターンを覚えるだけ では絶対に対応できません。

早い段階から過去問に着手し本試験の問題 に慣れるようにしたのは正解でした。
工原の講義の視聴がはじまった直後に過去問に 着手しました。 )

工原は講義の進捗に合わせて問題集(トレーニング)を解いた後に 同じ論点の過去問も解き、問題集(トレーニング)の反復に合わせて 過去問も反復的に解きました。

商会も毎日どこかの論点を解くようにしました。

過去問は当然、1回目は上手に解けませんが、これは仕方の ないとことだと思います。
(学習したばかりの論点の本試験問題をいきなり正解する のは正直厳しいです。)

そのかわり解けなかった問題は解説をよく読むようにして ちゃんと理解をした上で2回目、3回目と解き直しをしました。

問題によっては、いきなり解説を読む場合もありました。

解説をきっちりと読むこと!!
これがテキストと同様の効果を果たしてくれるのです。

さて、上に書いたように、過去問をインプットとして使うために適した教材を紹介させて頂きます。

商会と工原で、それぞれ厚さ20mm くらいあります。

この教材の優れている点は、過去に出題された問題が 各論点ごとに分かれて、編集されているところです。

例えば、減損損失であれば減損損失の問題をまとめて編集してあるので 問題集(トレーニング)と同じ感覚で使うことができます。

また、解説もかなりしっかり書かれているので、予備校で通常 使うテキスト+αの役割も果たしてくれます。

普通過去問題集といえば、受験回別にまとめてあることが 多いのですが、、、、

それを論定別にまとめてもらえているというところで 上に書いたようにインプット教材としての役割を 果たしてくれました。

短期合格を目指す方には、かなりお勧めです!!

*ただ、この過去問集ですが 137回・138回の検定以降の試験対策用が出ているか否かが分かりません。。
近年の回のものも名前が変わって出ているのかもしれません。

検算

問題を解いた後の「検算」が とても大事だと感じました。

電卓使って何か数値を求めるたびに、最低もう1回は電卓を 打ち直してました。

何しろ私は、自分の電卓打ちの精度をまったく信用してなかったので。。
やはり、電卓を使う試験だと打ち間違えは付き物だと思います。

原価計算など、問1で間違えると芋づる式に後も間違えるような 問題が多いです。
一度答練で、原価計算25点中3点をとってしまいました(本番なら余裕で足切り) 。

とにかく「何度も電卓叩いて、慎重に答えを置いてくる」

そういう意識でミスを減らしました。

ちなみに電卓は、以後の税理士試験も含めて「CASIO MW‐100T‐WE‐N」を使っていました。

4、まとめ

さて、日商簿記1級の合格体験と勉強方法について書きました。

この試験に合格すれば、税理士試験の受験資格を得られるわけですが、かなり難しいです。
受験を検討されている方は、しっかりと対策をしてぜひ合格を勝ち取って頂きたいと思います。

理系の学生の方へ
税理士試験の受験資格なら、理系でも大学で法律・経済に属する科目を2単位以上取得していれば獲得できるので、もし万に一つでも税理士を目指す可能性が今後あれば法律・経済に属する科目を受講しておくことをお勧めします。
日商簿記1級の合格と大学での2単位だと全然重みが違いますので。。

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