会社は国や特定の団体にお金を贈与することがありますが、これらの支出が事業活動に直接関係がない場合は「寄附金」となります。
「寄附金」には、対価性がありません。
(消費税は非課税)
法人税額は、会社の所得に税率をかけて計算します。
ざっくり言えば
所得 = 益金 − 損金
法人税 = 所得 × 法人税率
※中小企業の場合、ざっくりと「益金 − 損金」は「収益 − 費用」とほぼ同じだと思ってもらえれば良いです。
損金が大きくなるほど所得が小さくなり、法人税額は下がります。
さて、法人税法上、寄付金は全てが損金となる(所得を減らせる)わけではありません。
寄付金の種類によって、損金となる金額が異なります。
今日は、自分自身の備忘録も兼ねて、寄付金の法人税法上の取扱いについて整理します。
1、寄付金の損金算入限度額
寄付金が全て損金となると、会社が意図的に寄付金を支払って利益を他に移転して法人税額を下げようとする可能性があります。
それを防止するために、寄付金の損金算入限度額が定められています。
①一般の寄附金の損金算入限度額
一般の寄付金とは、下の②③以外の寄付金を言います。
子会社や一個人に対する寄付金などが該当します。
損気算入限度額は、下の「資本基準額」と「所得基準額」の合計になります。
「所得基準額」の計算で
(所得の金額 + 支出寄付金)
に一定率を掛けているのは、所得の金額は別表4の仮計の金額なので、それを寄付金を支払う前の金額に直すためです。
この式で損金算入限度額を計算すると、残念ながら、一般的に支払った寄付金のうち損金となる金額は半分未満になります。
②国等に対する寄附金及び指定寄附金
国、地方公共団体などに対する寄付金は、全額損金となります。
公共性・公益性が高いものは損金にしてあげようって考えなのですね。
③特定公益増進法人等に対する寄附金
特定公益増進法人の範囲については、こちらを参考にして下さい。
分かりやすいものでいえば、日本赤十字社などが該当します。
損気算入限度額は、下の「資本基準額」と「所得基準額」の合計になります。
※認定NPO法人等に対する寄附金の損金算入限度額も同じ計算をします。
2、まとめ
国など公共性・公益性が高い機関に対する寄付金は全額損金になります。
それ以外の寄付金には、損金算入限度額が定められています。
損金算入限度は、資本金等、所得、支出寄付金の金額が同じであれば
・国等に対する寄付金、指定寄付金
・特定公益増進法人等に対する寄附金
・一般の寄附金
の順に大きくなります。
(公共性・公益性が高い順)
寄付金は、お金が手元から出ていくけど損金になる金額が限られているので、節税効果が小さい場合があります。
また、寄付金としてみなされてしまう支出もあるので注意しましょう。