修士論文(税法論文)の作成に当たり、正しい文章の書き方を覚えなければなりません。
法律論文の文章の書き方は急に身に付くものではないので、執筆前も執筆し始めてからも、徐々に文章力を身に付けて行かなければなりません。
今日は、修士論文(税法論文)における「文章の書き方」についてお話ししたいと思います。
1、他人の論文を読んで書き方を学ぶ
テーマ選定のための文献調査で、他人の論文を読みます。
そのときから文章の書き方を意識した方が良いです。
論文の内容の理解は大事ですが、どのような書き方をしているかよく確認するようにしましょう。
・語尾
・1つの文章の長さ
・参照の際の要約の仕方
などです。
文章を書き慣れた法律学のプロが執筆した論文なので、それを参考にしない手はありません。
他人の論文を読んでいるうちに、自然と覚えれることはたくさんあります。
2、文章の書き方
語尾は「です・ます調」ではなく「である調」で書く
文章の語尾は、「〜です。」「〜ます。」という「です・ます調」ではなく、「~である。」のような「である調」で書かなければなりません。
自分が使った語尾には、以下のようなものがありました。
・(で)ある
・(と)考える
・(と)考えられる
・(と)言える
・(を)述べる
・(と)なる
・(と)する
・(では)ない
・(と)言えよう
*()の中の語は場合によって異なります。
以下のような感覚的な表現の語尾は、論文では使わない方が良いです。
・思う
・感じる
文章の長さ
短い文章を羅列するのは、法律論文として適していないと思います。
法律論文は、一つの文章をある程度長く書きます。
一行あたりの文字数を40文字とした場合、ちょうど一行程度(40文字程度)の文章を羅列すると、すぐに文章が途切れる印象が強くなります。
もちろん、40文字以下の文章を書くこともありますが、いくつも続け様に書くのはやめましょう。
参照の際の要約の仕方
文献を参照して書く場合、参照元の文献を要約することになります。
要約の仕方については、自分のテーマに関連する「ある論文」と「その中で参照している他の論文」を集めて、参照元の文章をどのように要約して書いているか確認すると参考になります。
けっこう長い文章を完結にまとめている場合が多いです。
元の文章と意味が変わらないように気を付けましょう。
学説の重要なポイントなど、要約しにくい箇所(要約しようとすると執筆者の意図と変わりそうな箇所)は、引用するようにしましょう。
3、文章を推敲(すいこう)する
自分の文章には必ず癖があるので、書いた文章をよく見直し適切なものにして行かなければなりません。
指導教授に指摘を受ける前に、自分でも何回も修正した方が良いでしょう。
自分が書いた文章を何日間か経ってから見直すとおかしい箇所が分かる
ある文章を書いた場合、その時はその時で一番良い文章を書くつもりで書いているので、なかなかその文章を客観視できません。
ところが、数日間経ってからその文章を見直すと、おかしい箇所がよく分かります。
自分の文章を、他人が書いた文章のように客観視できるのです。
自分が書いた文章を、良いものにするためには「書いた文章を寝かせた後に、もう一度読む」ことが大切です。
同じ言葉の繰り返しを避ける
同じ言葉を何回も繰り返すことには違和感を感じます。
例えば次のような文章です。
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プログラミングは、自動車、電車、スマホ、テレビゲームなど生活必需品を中心として、世の中のあらゆるところで使われているため重要な役割を担うと考える。また、ハードとも連携して、自動車等の複雑な動作を決定付ける主要因になっているため、プログラミングについて検討するためには、ハード面を考慮したアプローチも必要になると考える。本稿では、これらのプログラミングの特徴を把握した上で、その役割について再検討した上で新たな意義を見出したいと考える。
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語尾に「考える」を3連続。。。読み手は確実に違和感を感じると思います。
また、例えば次のような文章の場合
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ハードとも連携して、自動車等の複雑な動作を決定付ける主要因になっているため、プログラミングについて検討するに当たっては、ハード面を考慮したアプローチも必要になるため、本稿ではこれらのプログラミングの特徴を把握した上で、その役割について再検討した上で新たな意義を見出したいと考える。
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1つの文章の中で「ため」を2つ連続で使うと、「主張したいこと」と「根拠」の関係がよく分からなくなってしまいます。
自分ではなかなか気付かないですが、同じ言葉を繰り返し使ってしまうことはよくあります。
こういう癖に気付いて修正するためにも、推敲は重要です。
接続詞を適切に使う
接続詞はとても多くなりますが、適切に使うようにしましょう。
「また」「さらに」などを使った場合、その後に来る内容は前の文章と同列か、付け足した内容にならなければなりません。
「しかし」を使った場合、その後に来る内容は前の文章と反対の内容でなければなりません。
「したがって 」を使った場合、その後に来る内容と前の文章は、結果と原因の関係になっていなければなりません。
これらのような接続詞を使った箇所は、その前後の文章の関係が正しくなっているか確認するようにしましょう。
これも意外と適切に使えていない場合が多いです。。
4、まとめ
以上、自分の経験から修士論文(税法論文)の文章の書き方について、重要なポイントを説明しました。
修士論文を書く方は、はじめての経験である人が殆どだと思います。
正しい文章を身に付けることはそれなりに大変ですが、最終提出する論文の文章は全て正しい使い方に基づいたものでなければなりません。
例え実績がある方であっても、修正無しに適切な文章を書き上げることは難しいと思います。
そういう方々でさえも、一度書いた文章を必ず推敲しているので、自分の文章を良いものにするために「推敲」は必要なものだと考えるようにしましょう!!