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スケールメリットが大きいマクロ(Excel VBA)は手間がかかっても修正する


年末調整の時期ですね。

個人に1年間のうちに生命保険料などの支払いがあれば、保険料控除を受けることができて所得税が低くなります。

さて、雇われている従業員が保険料控除を受けるために作成する書類として

昨年までは、以下の「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」がありました。

保険料控除申告書29

それが、今年からは

・「給与所得者の保険料控除申告書」

・「給与所得者の配偶者控除等申告書」

と2つの書類に別れました。

保険料控除申告書は以下のものになりました。過年度のものから配偶者特別控除の部分が除かれています。

保険料控除申告書30

さて、私のいる事務所では過去3年間以上、Excel で作った保険料控除申告書に必要なデータを入力し、その内容をワンクリックで税務ソフトに取り込めるような仕組みを作って使っていました。

Excel VBA と UWSC で作ったマクロを使った仕組みです。

これで、保険料控除申告書への入力と、税務ソフトへの入力という無駄な2回入力を防ぐようにしていました。

しかし、今回保険料控除申告書の様式が変わってしまったため、マクロを作り直さなければなりませんでした。

VBA を修正するのは結構大変でしたが、スケールメリットを感じたので時間がかかっても対応しました。

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1、シートの構成が変わってしまったことへの対応

Excel 保険料控除申告書の仕組みをざっくりお話ししておきます。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください ↓

Excel ファイル中で従業員1人1日人につき、以下のように支払った保険料などを入力する部分と、保険料控除申告書のプリントアウトに使う部分に分けたシートが作成されます。

保険料控除申告書の仕組み

入力部分で入力した保険料などの情報は、プリントアウト部分に反映されます。ここでは、Excel の関数と VBA の両方を使っています。

保険料控除申告書の仕組み詳細

そして、従業員1人1人につき作ったこれらのシートの情報はワンクリックで税務ソフトの「年末調整システム」に取り込まれます。VBA と UWSC を使っています。

なお、従業員ごとのシートはプリントアウトして保管するというようにしています。

さて、今回は保険料控除証明書の様式が変わったため、シート上のセルの位置も以前と変わってしまったため VBA のコードも修正しなければならなくなりました。

そして、これがそれなりに大変でした。。。

2、時間がかかる修正でもスケールメリットがあれば対応する

Excel シートの構成が変わったことで、修正に何日間か時間がかかりました(常に一日中修正作業していたわけではありませんが)。

トータルで20時間くらいは VBA の修正作業に時間を使ったと思います。

しかし、それでもこの修正はやるべきだったと思っています。

なぜなら、スケールメリットが大きいからです。

自分が作った Excel ファイルは事務所内の全員が使うことができます。

そして、年末調整の業務を担当させて頂くすべての顧問先ごとに使うことができます。

保険料控除申告書に手書きで記入し、それと同じ内容をさらに税務ソフトに入力すると大変です(特に従業員数が多い顧問先の場合、かなり大変)。

手書きには時間がかかるし、同じ入力を2回やるのは時間のロスです。

マクロを使うことによって、全ての顧問先の年末調整業務の時間がけっこう短縮できるのです。

VBA の修正作業にも20時間という私の時間を投資しましたが、今回の年末調整だけでもその時間を取り戻せるぐらいの時間の短縮は可能です。

顧問先数 × 短縮された時間 > VBA の修正作業にかかった時間

という関係が成り立ちます。

そして、同じマクロが来年以降も使えるので、スケールメリットは大きいのです。

こういうことにこそマクロを使うべきです。

3、まとめ

VBA のコードをゼロから作るのにも修正するにも、作成時間がかかることはあります。

使う頻度があまりにも少ないマクロのためにこれらの作業をやっても、作成時間が長くなってしまうだけで効率化したメリットを発揮できません。

(作成時間を回収できるほどの効率化にはなりにくいです)

しかし、明らかなスケールメリットが見込める場合は時間をかけてでもマクロの作成に着手するようにしています。

編集後期

昨日(12/20)は今月申告の法人の決算を2件終わらせました。

1件は今年から引き受けさせて頂いた顧問先で、今回が初めての申告だったため色々と分からないこともあり大変でした。