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修士論文(税法論文) テーマ案提出時の論文構成案の書き方 一例


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修士論文(税法論文)関して、1年次の2月末に 「テーマ候補 2つ」と「第1候補のテーマの論文構成案」を提出しなければなりませんでした。

私がいた大学院では、論文構成案の書き方については特に指定はありませんでした。
ですので、人によって書き方はまちまちだったと思います。

今日は、自分がどのように「論文構成案」を書いたかを参考までに紹介したいと思います。
あくまで一例ということでご理解頂ければと思います。

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1、「論文構成案」は論文のダイジェスト版を作るつもりで書く

テーマ候補提出の段階で、仮にでも論文の結論と流れが決まっている方が望ましいです。

あくまで、テーマ選定の中でその時点までに読み込んだ文献を元に、論文のダイジェスト版を作るようなつもりで書いた方が良いと思います。

もちろんまだテーマも決まっていないので、完璧なものなど書けるわけはないのですが、このテーマをやるんだ!という意気込みを持って、その時点で持っている情報を元に全体を俯瞰するようなつもりで、結論(ゴール)とそこに向かうまでの流れ(ストーリー)を意識して書くべきでしょう。

2、「論文構成案」の書き方 一例

さて、私は以下の1〜5の項目についてA4用紙で4枚ほど書きました。

——————————
1、はじめに
2、研究対象及び研究目的
3、研究方法
4、おわりに
5、論文構成案
——————————

1〜5の項目にどのようなことを書いたか、具体例とともに以下に示します。
※なお、ここで示す具体例はあくまで仮想(私が勝手に作った例であり、実際の税法上の問題ではないです)のものであることをご了承下さい。

1、はじめに

研究の背景。どういうことがあってそのテーマが浮かび上がってくるのかを書きます。
後の論文執筆時の序論の作成に役立ちました 。

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例 近年、所得税法上の給与所得控除額を巡って金額の大小を巡る訴訟が多発している。給与所得控除額の大小については学説上も見解が分かれており、今後の判断に当たり混乱を招きかねない。
・・・
このような背景の中で、本稿では所得金額1,800万円以上の給与所得控除額の妥当性について検討する。
————————————————–

2、研究対象及び研究目的

論文で扱う題材(ベースとなる裁判例や学説など)、論点(問題意識)、この論文を書くことで何に役立つかなどを書きます。
自分の中で論点が明確になり、論文を書くことで、税法上どう貢献できるかもはっきりしました。

————————————————–
例 本稿では、東京高裁平成○○年○○月○○日判決を題材として、「所得金額1,800万円以上の給与所得控除額の妥当性」についての学説を整理した上で、私見述べ妥当性を検討する。
・・・
これを行うことにより、今後の課税実務や裁判における判断の一助とすることを目的とする。
————————————————–

3、研究方法

どのようにして、論点に対する答え(結論)を導くかを書きます。論文の骨格を作ることができました。

————————————————–
例 まず、給与所得控除額の意義について述べる。・・・ 給与所得控除額は、○○ということを目的として規定されている。
・・・

次に、東京高裁平成○○年○○月○○日判決の内容について整理する。・・・この裁判例では、「○○のため妥当である」と判示している。
・・・

次に、給与所得控除額についての学説を整理する。・・・ 所得金額1,800万円以上の給与所得控除額が妥当であるとする説としてAの説があり、妥当でないとする説としてBの説がある。
・・・

最後に、私見を述べその妥当性について論証を行う。・・・まず、Bの説は××であるため適切ではないと考える。・・・現状の給与所得控除額は××であるため妥当であると考える。
・・・
————————————————–

4、おわりに

論文の結論を書きました。
これにより、ゴールが明確になりました。

————————————————–
以上より、 所得金額1,800万円以上の給与所得控除額は現状のままで妥当であると考える。

・・・

△△という問題が残るが、その点については今後の課題としたい。
また今後、本稿で取り上げた裁判例の最高裁判決及び立法の動きにも注目していきたいところである。
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5、論文構成案

・はじめに
・第1章 給与所得控除額の意義
・第2章 裁判例の研究
・第3章 給与所得控除額についての学説
・第4章 給与所得控除額についての妥当性の検討
・おわりに

3、「論文構成案」の作成に当たっての重要なポイント

上記の例では、論点は 「所得金額1,800万円以上の給与所得控除額が妥当か否か」、ということになります。この論点につき裁判における判決があり、妥当か否かを説いた学説もあることを前提として書いてあります。

上記1〜5の項目の中で特に重要なのは、3の研究方法だと思います。論文の構成に大きく関わってきます。
ざっくりでもいいので、どういう流れで書くか(論点に対する答えをどう導き出すか)考えることに意味があります。

また、論文概要を書く作業全体を通して、テーマ選定の際に文献を読んで吸収したことを整理することができ、自分自身の思考も整理することができました。この論文概要が、後の執筆のベースになったと思います。

4、まとめ

論文構成案を自分がどのように書いたか、あくまで一例として紹介させて頂きました。

*繰り返しになりますが、上の例は実際の税法上の問題ではなく、私がどのように論文構成案を書いたか紹介するために独自に作り上げたものであることご了承下さい。

修士論文の執筆がスムーズに進むかどうかは、この「論文構成案」の作成を含む「テーマ選定」の段階でどこまで考えることができているかにかかっていると思います。

結論(ゴール)と流れ(ストーリー)を早い段階で決めることができれば、それに沿って書き進めることができますので。
執筆をしながら結論(ゴール )と流れ(ストーリー)が若干変わることはあると思いますが、それはそれで全然問題ないと思います。

ただ、結論(ゴール)と流れ(ストーリー)を全く考えずに執筆し始めると、書き始めてから何も論じることが無かったということにもなり兼ねないのでその点は慎重に進めなければなりません。