第65回税理士試験 「国税徴収法」 合格答案の再現

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松井 元(まつい はじめ)

静岡県三島市の松井会計事務所に勤務する理系税理士。 文理両方のスキルの融合を考えており、このブログは以下を中心に更新している。
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前に書いていたブログの記事をリニューアルして、第65回税理士試験 「国税徴収法」 の合格答案を書かせて頂きます。

自己採点は大原の解答でボーダー(64点)+αといったところでした。

平成27年の問題は、予備校で解答が割れていたり、題意が分かりにくいところもあったので、自分が実際にどのような解答を書いて合格できたのか、今勉強されている方が過去問を解くときの参考になればと思います。

なお、(理論マスターベタ書き)と記載の部分は、TAC の理論マスターの内容をそのまま書いたという意味です。

予備校の模範解答(問題文も入ってる)と、国税庁が出した出題のポイントを見ながら確認頂ければと思います。

大原模範解答

TAC模範解答(問題文付き)

出題のポイント


↑第65回(平成27年)税理士試験会場「吹上ホール」にて

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1、第一問

問1

(1)
●動産
第三者の部分を削除して(理論マスターベタ書き)

●不動産
第三者の部分を削除して(理論マスターベタ書き)

●自動車
建設機械、小型船舶の部分を削除して(理論マスターベタ書き)

問題文に()付きで所有者の場合と、明確に指示があるので第三者のことを書いたら減点又は不正解の可能性があったと思います。

大原の模範解答では、動産、自動車の使用収益について原則、例外分けて書いてありましたが、私は、例外しか書きませんでした。

そもそも、国税通則・徴収・犯則法規集で確認すると元の条文には例外しか書かれておりません。裏を返せば原則ということになります。

(2)例外的な方法により売却できる場合
1、一括換価(換価する財産の範囲) (理論マスターベタ書き)

2、随意契約による売却 (理論マスターベタ書き)

3、国による買入れ (理論マスターベタ書き)

4、譲渡担保財産の換価の特例 (理論マスターベタ書き)

10月に発表された出題のポイントでは、「随意契約による売却ができる場合の正確な理解がポイント」となっておりました。

私の解答はTAC、大原と同様に個別換価を原則として捉えた上で、上記のように一括換価、国による買入れ、譲渡担保財産の換価の特例についても記述しているため、場合によっては余計なこととみなされ0点にされるのでは……と不安でしたが、大丈夫でした。

とにかく、随意契約についての記載があれば他のことを書いていても正解になった(あるいは大きな減点は無かった)ようです。

出題のポイントに記載のないことを書いてもバツにされなかったのは幸運でした。
どう判断されるかは試験委員の裁量次第だと思います。

問2

(1)差し押えるべき財産
 A土地及びC土地

(2)理由
1、B土地を差し押えない理由
●第三者(賃借権者甲)の権利を害することとなるため差し押えるべきでない。

●「第三者の権利の尊重」について(理論マスターベタ書き)

2、D土地を差し押えない理由
●無益な差押えに該当するため、差し押えることができない。

●「無益な差押え」について(理論マスターベタ書き)

●本問の場合、D土地の評価額は700万円であり、滞納国税(法定納期限等 平成26年3月17日)に優先する抵当権丙(設定登記日 平成24年2月1日)の被担保債権額900万円を超えないので、上記に該当するため、差し押えることができない。

3、C土地を差し押える理由
滞納国税(法定納期限等 平成26年3月17日)に優先する抵当権乙(設定登記日 平成24年9月3日)の被担保債権額は1600万円であるが、C土地の評価額は2000万円であるため、400万円(2000万円ー1600万円)国税が配当を受けることができるため、差し押えるべきである。

4、A土地を差し押える理由 
A土地は、上記1に示す場合のように第三者の権利を害することがなく、また上記2に示す場合のように無益な差押えにも該当しないため、差し押えるべきである。

5、その他
●「超過差押の禁止」について(理論マスターベタ書き)

●本問の場合、A土地(徴収可能額 300万円)とC土地(徴収可能額 400万円)を差し押えても超過差押には該当しない。

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差し押えるべき財産はTAC、大原の解答と同じですが、1のB土地を差し押えない理由(選択のロジック)が模範解答と異っており不安でした。

予備校の先生の話では、理由は人によって書き方が違うため多少違っていても問題はないと思われるけれど、差し押える財産(A土地及びC土地)を間違えた人は、即アウトになっているということでした。

2、第二問

問1

(1)処分とその要件
●X税務署長は、滞納者Aに対する滞納処分の執行を停止することができる。

●要件を(理論マスターベタ書き)

●本問の場合、滞納者Aは平成26年9月1日に事業を廃止し、現在は乙社からの給料(8万円)で暮らしており、日々の生活を維持することも厳しい状況にありまた、他に適当な財産もない。したがって、上記②(2号の部分)に該当することとなるため滞納処分の執行を停止することができる。

(2)効果
1、滞納処分の禁止
●「滞納処分の禁止」について(理論マスターベタ書き)

●本問の場合、滞納者Aの敷金返還請求権15万円の差押えを解除しなければならない。

2、納税義務の消滅
●「納税義務の消滅」について(理論マスターベタ書き)

●本問の場合、執行の停止が3年間継続したときは、消滅する。

3、時効の進行 (理論マスターベタ書き)

4、延滞税の免除 (理論マスターベタ書き)

出題のポイントの通り、2号の要件を理由とした当てはめをすることができました。

個人的には1号の要件でも間違いではないような気はします。ただ、出題のポイントでは2号の要件となっているのでこちらが正解なのでしょう。1号を書いたらどうなっていたか分かりません。

なんとも判断が難しいかったですが、問題文に「日々の生活を維持することも厳しい」とあったので、文言通りに捉えることにしました。試験委員の意図と合っていて幸運だったと思います。

問2

(1)処分とその要件
●X税務署長は、長男Bに対し事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務を追及することができる。

●「要件」について(理論マスターベタ書き)

●本問の場合、納税者Aは国税を滞納しており、滞納国税の法定納期限(平成26年3月17日)の1年前の日後である平成26年9月1日に事業を親族その他の特殊関係者である長男Bに譲渡している。長男Bは同一の場所(甲町1丁目2番地)において、同一の事業(卸売業)を営んでおり滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足する状態であるため本要件に該当する。よって、Bに対して事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務が追及できる。
 
(2)徴収することができる金額とその理由
1、第二次納税義務者
●「第二次納税義務者」について(理論マスターベタ書き)

●本問の場合、長男Bである。

2、徴収できる金額の範囲
●「徴収できる金額の範囲」について(理論マスターベタ書き)

●本問の場合、譲受財産は売掛金、建物C、自動車であるから、長男Bは本来これらの財産を限度として、滞納国税の第二次納税義務を負う。個々の財産について徴収できる金額は以下のようになる。建物Cは火災により消失しており、取得財産である損害保険金600万円に第二次納税義務が及ぶことになる。しかし、建物Cには国税の法定納期限等(平成26年3月17日)以前である平成24年2月1日に抵当権が設定登記されており、国税は抵当権に劣後し配当を受けることができないため、借入金の返済は妥当である。したがって、建物Cからは徴収することができない。売掛金は買掛金や経費の支払いに充てられているため、徴収することができない。したがって、自動車(20万円相当)を限度として、滞納国税の第二次納税義務を負うこととなり、長男Bから徴収することができる金額は20万円である。なお、建物Dは取得財産ではないため、第二次納税義務は及ばない。 

3、詐害行為取消権の行使による追及
●「詐害行為取消権の行使」について (理論マスターベタ書き)

●本問の場合、滞納者A、長男Bとも滞納国税の存在を知っていながら譲渡代金の40万円は滞納者Aの長男Bに対する仕入債務と相殺されているため、詐害行為取消権を行使して、滞納者Aの財産として復帰させたうえで滞納処分を執行することができる。したがって、滞納者Aから徴収することができる金額は40万円である。

4、通謀虚偽表示による無効 (理論マスターベタ書き)

(2)はTAC、大原で解答が割れていました。長男Bから徴収することができる金額について、自分はTACと似た内容の解答を書きました。出題のポイントを見ても結局徴収することができる金額がいくらが正解かははっきりとは分かりません。

滞納者Aから徴収することができる金額は、完全に的外れの解答を書いてしまった感じです。これも正解ははっきりとは分かりません。理論マスターのベタ書き部分(第二次納税義務の範囲)や「建物Dは取得財産ではない」といった記載には部分点は来るとは思ってました。

予備校の先生の話では、(2)はほぼ白紙でも合格した人はいるようで合否にはあまり関係なかったということでした。

3、全体通した所感

全体的に、第二問の問2(2)以外、解答すべき内容は基本論点ばかりでしたが、問い方が難しい(題意が分かりにくい)ところがあったためシンプルに見えて難しい問題だったと感じました。

第一問の問1(2)は、出題のポイントを見る限り試験委員の想定する解答は随意契約のみのようでした。ただ、予備校の解答もそうですが、原則を「個別換価(公売)」と解釈することによって、随意契約以外の解答も考えられると思いました。自分としては題意が不明確なのに、もし随意契約以外の余計なことを書いたことにより、0点にされたりしたら理不尽だ……と思ってました。実際にはちゃんと採点して頂けたみたいなので、運が良かったと思います。

上にも書きましたが、第二問の問2(2)は合否に関係ないということなのでそれ以外の問題で合否が分かれているのだと思います。そうなると、やはり重要なのは、「暗記の精度とあてはめの適切さ」なのだと感じました。

暗記の精度を極限まで高めておいて良かったです。また、理論全体の理解を大切にしたのも大きな勝因でした。

また、何より運が見方してくれたと思います。

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