青色申告による青色申告特別控除、65万円の控除を受ける場合と10万円の控除を受ける場合の要件の違い

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松井 元(まつい はじめ)

静岡県三島市の松井会計事務所に勤務する理系税理士。 文理両方のスキルの融合を考えており、このブログは以下を中心に更新している。 ●税金・会計に関すること ●IT(Excel、VBAなど)を使った業務効率化 ●自分のこと(考え、私生活)。 家族は妻子供2人の4人家族。 喫茶店(特にコメダ珈琲)が好き。カラオケが好き。 さらに詳細なプロフィールはこちら

事業所得、不動産所得、山林所得のいずれかの所得がある人は青色申告をすることができます。

青色申告というのは、一言で言えば税金の計算上様々な特典を受けることができる制度です。

・専従者給与(家族への給与)の経費算入

・損失の3年間繰り越し(翌年以降の利益からマイナスできる)

・貸倒引当金の経費算入

・30万円未満の固定資産の即時償却

・青色申告特別控除を受けることができる

こういった↑特典を受けることができるので、税金の額を小さくする方に作用します。

さて、タイトルにも上げた特典の1つである青色申告特別控除には 65万と10万円の2つのパターンがあります。

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1、青色申告特別控除

青色申告により青色申告特別控除を受ける人の多くは、事業所得又は不動産所得がある人でしょう。

個人事業主の場合を例にとると、次のように所得税が計算されます。

Image(408)

上の赤で囲った「経費等」の「等」の中には青色申告特別控除が含まれているということですね。

事業所得 = 売上 - 経費 - 青色申告特別控除(65万円 又は 10万円)

このように↑なります。

事業所得が小さいほど、所得税の額が小さくなるわけですね。

そして、青色申告特別控除は65万円の控除を受けた方が10万円の控除を受けるよりも事業所得が小さく所得税の額も小さくなることが分かりますよね。

ただ、65万円の控除を受ける場合の方が10万円の控除を受ける場合よりも、要件は厳しくなっています(やらなければならないことが多い)。

そりゃ同じ要件だったら誰でも65万円の控除を受けますが、そんなに甘くはありません。

2、10万の控除と65万円の控除を受ける場合の要件の違い

青色申告特別控除により65万の控除を受ける場合と10万円の控除を受ける場合の要件の違いは、大きく言えば「記帳の仕方」の違いになります。

所得の種類

所得が山林所得のみの場合は10万円の控除しか受けれません。

65万の控除を受けるためには、事業所得又は不動産所得が無ければなりません。

記帳方法

10万円の控除を受ける場合は単式簿記で記帳すれば良いですが、65万の控除を受ける場合は複式簿記によって記帳しなければなりません。

単式簿記では売上・経費の金額と内容が分かるようにしておけば良いのですが(家計簿のようなイメージ)、複式簿記では借方・貸方を考えながら記帳しなければなりません。

簿記3級の知識が必要です。

青色申告決算書

10万円の控除を受ける場合は、青色申告決算書に売上と経費を計上して所得を計算すれば良いです。

いわゆる損益計算書だけを提出すればよく、資産・負債の計上はしなくても大丈夫ということです。

それに対して、65万の控除を受ける場合は資産・負債も計上しなければなりません。

損益計算書(PL)だけではなく、貸借対照表(BS)の提出が必要なのです。

だからこそ、複式簿記での記帳が義務付けられているのですね。

現金主義・発生主義

10万円の控除を受ける場合は、現金主義で記帳すれば良いです。

現金主義の下では、実際にお金が入ってきた時に売上を立ててお金が出て行った時に経費を立てます。

売掛金に相当する売上のようなお金が入る前の売上や、 買掛金に相当する仕入のようなお金が出て行く前の経費は計上しません。

一方で発生主義の下では売掛金に相当する売上、買掛金に相当する仕入なども計上しなければなりません。

不動産所得の場合の事業性

不動産所得の場合、65万円の控除を受けるためには上記の要件(複式簿記による記帳、貸借対照表の作成、発生主義)に加えて、「不動産貸付が事業として行われている(事業税の課税対象となる)」必要があります。

具体的には以下を満たしていなければなりません。

(1)貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。

(2)独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

国税庁の HP より抜粋

要件比較

10万円の控除を受ける場合と、65万円の控除を受ける場合の要件の違いをまとめると次の表のようになります。

image

3、手続き

10万円の控除を受ける場合と、65万円の控除を受ける場合で手続きに違いはありません。

青色申告承認申請書を所定の時期までに税務署に提出する必要があります。

提出期限は以下のようになります。

※なお以下の日付は青色申告書による申告をしようとする年中の日付です。確定申告のタイミングは翌年の3/15が期限となります。

①前年以前から事業を行なっていた場合・・・ 3月15日まで

②その年の1月15日までに事業を開始した場合・・・3月15日まで

③その年の1月16日以後に事業を開始した場合・・・ 事業開始から2ヶ月以内

Image(410)

3、まとめ

青色申告特別控除について、10万円の控除を受ける場合と65万円の控除を受ける場合の要件の違いを説明しました。

65万円の控除を努力次第で受けれるのであれば検討した方が良いでしょう。

日々の記帳が複式簿記になるので会計ソフトは必須です。

簿記も覚えなければなりません。

売上・経費だけでなく資産・負債も計上しなければならないのでそれなりに労力がかかります。

ただ受けれる控除額は10万円の場合と比べて55万円も大きいです。

55万円に所得税率を掛けて計算できる「所得税額の減少額」も大きいです。

5%       27,500円減少

10%     55,000円減少

20%   110,000円減少

23%   126,500円減少

30%   165,000円減少

良い点は所得税が小さくなるだけではありません。

複式簿記によって資産・負債も把握できるようにした方が経営の状態がよく分かるのも良い点です。

65万円の控除を受けることを検討してみましょう!

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