退職金に関する所得税、住民税と退職金手取額の計算方法

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松井 元(まつい はじめ)

静岡県三島市の松井会計事務所に勤務する理系税理士。 文理両方のスキルの融合を考えており、このブログは以下を中心に更新している。
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会社を退職する際に、会社から退職金を受けた従業員には税金が課されます。

税金の種類は給料などと同様で、個人に課される税金である「所得税」と「住民税」なります。

さて、この退職金に関する所得を「退職所得」と言いますが、退職所得は分離課税となっており、課される所得税額、住民税額も小さくなるように配慮されています。

今日は、この退職所得に課される所得税、住民税と退職金手取額の計算方法について整理します。

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1、会社は退職金から所得税及び住民税を天引きして納付する

会社が従業員に退職金を支給するときは、所得税及び復興特別所得税(以下、まとめて所得税と呼びます)を源泉徴収して、翌月10日までに国(税務署)に納めなければなりません。

この点は、給料からの源泉徴収と同じです。

また、住民税(市民税、県民税)も特別徴収して納付しなければなりません。

さて、源泉徴収する所得税の金額は、従業員から会社への「退職所得の受給に関する申告書」の提出の有無により計算方法が異なります。

2、「退職所得の受給に関する申告書」の提出がある場合において、源泉徴収する所得税、住民税と退職金手取額の計算

所得税の計算方法

まず、退職所得を計算しその金額に所得税率を掛けて所得税を計算します。

退職所得の計算に当たり、収入金額(源泉徴収される前の金額)から退職所得控除額がマイナスされます。

給料における給与所得控除と同様に、支出を伴わない控除になる(所得税を減らせる)ので所得税の計算上とてもありがたいものです。

退職所得控除額

退職所得控除額は、退職する従業員の勤続年数によって異なります。勤続年数が長いほど大きくなります。

勤続年数のカウント上、1年未満の期間は1年とします。
例えば、勤続年数が15年4ヶ月の場合は16年となります。

退職所得控除額は、最低でも80万円となるので、収入金額が80万円以下の場合は退職所得は0円となり所得税もかかりません。

また、図中にも示したように障碍者となったことが原因で退職した場合、上記グラフの金額にさらに100万円を足した金額が退職所得控除額となります。

障碍者となると様々に負担があるので、税金面での負担を和らげるという考えです。

退職所得

退職所得の計算上、収入金額から上記の退職所得控除額をマイナスした値をさらに2分の1します。

支出が伴わない控除に加え、さらに控除後の金額を半額にするという、これまた非常にありがたいことですね。

退職金なので、その後の人生のことなど考えると税金面での負担は少なくすべきという配慮から来ているのでしょう。

退職所得の金額と勤続年数の関係は次のようになります。

*役員等として勤続年数が5年以下の者が支払いを受けた場合は、その期間に該当する部分の退職所得の金額は2分の1の掛け算はせずに、「退職所得=収入金額-退職所得控除額」となります。

同じ収入金額の場合(上記グラフの青のライン上)、勤続年数が大きいほど退職所得は小さくなります。

勤続年数が大きいほど、退職所得控除額が大きくなるためです。

また、収入金額が大きいほど退職所得も大きくなります(所得税を大きくする)が、これは他の税金でも同じことなので仕方のないことですね。

所得税

所得税の計算は、他の所得と同様に退職所得に所得税率を掛けた金額から税額控除額をマイナスして計算します。

復興特別所得税もあるので、上記により計算した金額を 1.021 倍します。

勤続年数に対する所得税の計算結果を収入金額ごとにグラフで示しておきます。

同じ収入金額であれば、退職所得控除額が勤続年数が増えるほど大きくなるので、所得税も小さくなっていきます。

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住民税の計算方法

さて、退職所得には所得税だけではなく住民税もかかります。

計算方法は、まず所得税の計算のときと同じように、まず退職所得を計算します。

そして、その退職所得に税率を掛けて市民税、県民税の特別徴収税額を計算します。

税率は市民税が税率6%、県民税が4%です。

所得税、住民税、退職金の手取額の計算例、端数処理など

実例をあげて計算過程を示したいと思います。

会社が 21年2ヶ月勤務して定年退職する従業員甲(役員ではない)に退職金として 15,151,515円を支払った場合を考えてみます。

まず、勤続年数の計算において1年未満は切り上げるので、勤続年数は22年となります。

退職所得控除額
=8,000,000円 + 700,000円 × (22年 ー 20年)
=9,400,000円

退職所得
=(収入金額 ー 退職所得控除額)× 1/2
=(15,151,515円 ー 9,400,000円)× 1/2
=2,875,757.5円 ⇒ 2,875,000円(1,000円未満 切捨て)

*1,000円未満切り捨てるのは、他の所得の計算と同様です。

所得税
=(退職所得 × 所得税率 ー 税額控除額)× 1.021
=(2,875,000円 × 0.1 ー 97,500)× 1.021
=190,000円 × 1.021
=193,990円(円未満 切捨て)

このように所得税を計算できます。

次に住民税を計算します。

市民税
=退職所得 × 税率
=2,875,000円 × 0.06
=172,500円(100円未満切捨て)

県民税
=退職所得 × 税率
=2,875,000円 × 0.04
=115,000円(100円未満切捨て)

最後に退職金手取額は、次のように計算できます。

退職金手取額
=収入金額 ー (所得税 + 市民税 + 県民税)
=15,151,515円 ー(193,990円 + 172,500円 +115,000円 )
=14,670,025円

退職金に関する所得税、住民税と退職金手取額の計算用の Excel シート

上記計算と同じ計算が行える Excel シートを作成しました。

*役員等の勤続年数が5年以下の者に対する退職手当には対応していません。


以下からダウンロードできますので、是非活用してみて下さい。

退職所得計算ツール.xlsx

確定申告の必要性

会社が、上記のように所得税を計算して源泉徴収していれば、退職金の受給者が確定申告をする必要はありません。

3、「退職所得の受給に関する申告書」の提出が無い場合

所得税の計算

この場合、収入金額に 20.42% を乗じた金額の所得税及び復興特別所得税を源泉徴収することになります。

退職金の受給者は、確定申告をすることによって上記2「退職所得の受給に関する申告書」の提出がある場合と同じ所得税額に精算することができます。

殆どの場合において還付となるでしょう。

住民税の計算

「退職所得の受給に関する申告書」の提出がある場合と同じ計算を行います。

4、まとめ

自分自身の理解の整理の意味も込め、退職金に関する所得税・住民税と退職金手取額の計算方法を説明しました。

所得税は分離課税であり、金額を小さくするための配慮がなされていることが分かると思います。

上にも添付した計算シートも活用して頂ければと思います。

退職所得計算ツール.xlsx

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