建設業者などが自社で建物を建てるときは、資材を調達したり、自社の人員を作業に当てたり、外注業者に工事を依頼したりして徐々に建物が完成に近づいていきます。
完成した建物は、有形固定資産の「建物」勘定に含められます。
しかし、建物が完成するまでの期間に支払った費用は「建物」勘定に入れることはできません。
完成するまでの支払い分は有形固定資産の「建設仮勘定」という勘定科目にしておきます。
そして、自社の建物が完成した時に「建物」勘定に振り替えることになるわけです。
「建設仮勘定」である間は減価償却もされません。
さて、今日はこの「建設仮勘定」についての消費税の扱いについてお話しします。
国税庁の HP に取扱いが載っています。
1、建設仮勘定に含まれる消費税
例えば資材を購入した場合、購入代金には消費税が含まれています。
購入代金が 540,000円(税込)であれば、消費税率 8%の場合
・税抜価格 500,000円
・消費税 40,000円
となります。
さて、消費税の課税事業者は 1年間の収入に含まれる消費税を国に納めますが、その際に費用に含まれる消費税を差し引くことができます。これを仕入税額控除と言います。
建設中の建物である「建設仮勘定」に含まれる消費税もこの仕入税額控除に該当するので、納める消費税を少なくする方に作用します。
そして支払った期に仕入税額控除として差し引かれるわけです。
仕訳を起こす際には、消費税分は仮払消費税等としておきます。
さて、「建設仮勘定」を使う場合、消費税についてもう1つ処理の方法があります。
費用を支払う際には消費税を仕入税額控除として差し引きしないこともできるわけです。
その場合、建物が完成して「建物」勘定に振り返る時に消費税分を仮払消費税等とします。
金額が上記と同じだとすれば、以下のようになります。
実務ではこちらのやり方をとることが多いです。
建物を建設中に期末を迎えた場合、貸借対照表(BS)には「建設仮勘定」が載るこになりますが、消費税を抜かない金額で計上していることになります。
2、まとめ
自社で建物を建てるときに使う建設仮勘定の消費税についてお話ししました。
参考にして頂ければと思います。
編集後記
ブログがきっかけとなり、税理士受験生向けのある雑誌への執筆をご依頼頂きました。
どのような内容に仕上がるか楽しみです!!