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修正申告したときの法人税申告書(別表4、別表5(1))の書き方


静岡県三島市の税理士、松井元(@hajime_matsui)です。
こんにちは!

今日の記事は完全に個人的な備忘録です。

法人税の修正申告、たまにしかやらないなのでどうしても忘れてしまいます。

いくつかの例を上げて、申告書の記載の仕方、会計と税務の繋がりなどを残しておきます。

●事例1: 期末売掛金の計上漏れがあって修正申告した場合
●事例2: 期末在庫と期末未払金の計上間違い、給料と外注費の科目間違いがあって修正申告した場合

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法人税申告書の修正申告の書き方

別表4と別表5(1)は以下のようなものです。

●別表4は、申告書上の損益計算書のようなイメージ
●別表5(1)は、申告書上の貸借対照表のようなイメージ

別表4と 別表5(1)は繋がっています。

事例1:期末売掛金の計上漏れがあって修正申告した場合

X1年3/31 決算の法人が、期末の売掛金 1,080,000円を計上が漏れていたとします。

その場合、会計上は決算を過ぎて締めてしまっているので、帳簿はそのままです。

税務上は法人税の修正申告をする必要があります。
(自主的な場合もありますが、税務調査で指摘を受けてする場合もあります。)

売上 1,080,000円が抜けていたことになるので、そこに含まれる消費税の支払いも必要になります(消費税の修正申告も必要)。

このときの消費税率が8%だったとしたら、売上 1,080,000円の中に含まれる消費税は 80,000円です。

X1年3/31 決算分の法人税の修正申告

不足していた以下の仕訳を、法人税の申告書の中に入れ込むイメージです。

(借方)売掛金 1,080,000円 / (貸方)売上 1,080,000円
(借方)売上 80,000円 / (貸方)未払消費税等 80,000円

別表4には、仕訳上の収益費用(益金損金)を入れ込むと理解すればよいでしょう。

(借方)売掛金 1,080,000円 / (貸方)売上 1,080,000円
(借方)売上 80,000円 / (貸方)未払消費税等 80,000円

●加算項目
・売上 1,080,000円分(貸方の売上)
・現預金の動きはないので「留保」

●減産項目
・未払消費税等分の売上 80,000円分(借方の売上)
・現預金の動きはないので「留保」

*「留保」と「社外流出」について
現預金の動きがある場合は「社外流出」、ない場合は「留保」
「留保」となる場合は別表5(1)へ(資産、負債としての)記載も必要

そして、別表5(1)には、仕訳上の資産負債を入れ込みます。

売掛金と未払消費税等ですね。

(借方)売掛金 1,080,000円 / (貸方)売上 1,080,000円
(借方)売上 80,000円 / (貸方)未払消費税等 80,000円

売掛金、未払消費税等とも当期の増加項目として入れます。

売掛金は資産の増加なので +1,080,000円、未払消費税等は負債の増加なので△を付けて △80,000円

X2年3/31 決算分の法人税申告書の書き方

さて、次は翌年に法人税の申告書をどのように記載するか? についてです。

2つのパターンについて書いて行きます。

①売掛金の入金があり、消費税の増加分も支払いも済んだ場合
②売掛金の入金があり、消費税の増加分の支払いはまだ済んでいない場合

会計・税務両方の面で整理が必要です。

①売掛金の入金があり、消費税の増加分も支払いも済んだ場合

このケースの場合、会計上以下の仕訳が起きています。

(借方)現金預金 1,080,000円 / (貸方)売上 1,080,000円
(借方)租税公課 80,000円 / (貸方)現金預金 80,000円

法人税の申告書上は 売上 1,080,000円は前期に計上済で、また租税公課 80,000円も売上のマイナスとして前期に計上済です。

ですので、何もしないと法人税申告書の方が収益費用(益金損金)として以下の余計なものが載っていることになります。

(借方)現金預金 1,080,000円 / (貸方)売上 1,080,000円
(借方)租税公課 80,000円 / (貸方)現金預金 80,000円

収益(益金)である売上 1,080,000円を打ち消すために、費用(損金)として減産項目に売掛金認容 1,080,000円を載せます。

また、逆に費用(損金)である租税公課 80,000円を打ち消すために、収益(益金)として加算項目に未払消費税 80,000円を載せます。

別表5(1)は載っている資産、負債が無くなったときに、減少させます。

今回の場合、売掛金、未払消費税 両方とも無くなっているので、残が0になるようにする必要があるのです。
(残っている場合は、ここは触らない)

②売掛金の入金があり、消費税の増加分の支払いはまだ済んでいない場合

このケースの場合、会計上以下の仕訳が起きています。

(借方)現金預金 1,080,000円 / (貸方)売上 1,080,000円

法人税の申告書上は 売上 1,080,000円は前期に計上済です。

ですので、何もしないと法人税申告書の方が収益(益金)として以下の余計なものが載っていることになります。

(借方)現金預金 1,080,000円 / (貸方)売上 1,080,000円

収益(益金)である売上 1,080,000円を打ち消すために、減産項目に売掛金認容 1,080,000円を載せます。

消費税の増加分については、支払っていないので何もしません。

別表5(1)は載っている資産、負債が無くなったときに、減少させます。

今回の場合、売掛金が無くなっているので、残が0になるようにする必要があるのです。

消費税の増加分は支払っていないので、未払消費税は残ったままです。これについては支払った年に減少させます。

事例2:期末在庫、期末未払金の計上間違い、給料と外注費の計上間違いがあって修正申告した場合

X1年3/31 決算の法人が、以下のような状況だったとします。

・材料の在庫 1,114,200円の計上が漏れていた
・給料の未払金が 50,000円多く計上されていた
・外注費 44,000円分が間違って給料として計上されていた

その場合、会計上は決算を過ぎて締めてしまっているので、帳簿はそのままです。

税務上は法人税の修正申告をする必要があります。

材料の在庫 1,114,200円が抜けているので、在庫を増やす必要があります。

また、給料の未払金を 50,000円減らす必要があり、給料のうち44,000円分は外注費に振り替える必要があります。

外注費に振り替えた44,000円に含まれる消費税は仕入税額控除に伴い、費用から除く必要があります。

X1年3/31 決算分の法人税の修正申告

不足していた以下の仕訳を、法人税の申告書の中に入れ込むイメージです。

①原材料を増やす
(借方)原材料 1,114,200円 / (貸方)期末材料棚卸 1,114,200円

②給料の未払金を減らす
(借方)未払金 50,000円 / (貸方)給料 50,000円

③給料を外注費に振り替える
(借方)外注費 44,000円 / (貸方)給料 44,000円

④外注費に含まれる消費税を抜き出す
(借方)未収還付消費税等 4,000円 / (貸方)外注費 4,000円

別表4には、仕訳上の収益費用(益金損金)を入れ込むと理解すればよいでしょう。

①(借方)原材料 1,114,200円 / (貸方)期末材料棚卸 1,114,200円
②(借方)未払金 50,000円 / (貸方)給料 50,000円
③(借方)外注費 44,000円 / (貸方)給料 44,000円
④(借方)未収還付消費税等 4,000円 / (貸方)外注費 4,000円

●加算項目
・上記① 期末材料棚卸 1,114,200円(貸方)、現預金の動きはないので「留保」
・上記②、④合わせて 給料 54,000円(給料 50,000円(貸方)+外注費 4,000円(貸方))、現預金の動きはないので「留保」

そして、別表5(1)には、仕訳上の資産負債を入れ込みます。

原材料、未収還付消費税等、未払金ですね。

①(借方)原材料 1,114,200円 / (貸方)期末材料棚卸 1,114,200円
②(借方)未払金 50,000円 / (貸方)給料 50,000円
③(借方)外注費 44,000円 / (貸方)給料 44,000円
④(借方)未収還付消費税等 4,000円 / (貸方)外注費 4,000円

すべて当期の増加項目として入れます。
(未払金も減少側なので、資産と同様に載せます。)

X2年3/31 決算分の法人税申告書の書き方

さて、次は翌年に法人税の申告書をどのように記載するか? についてです。

2つのパターンについて書いて行きます。

①未払金を支払い、消費税の増加分の還付もあった場合
②未払金を支払い、消費税の増加分の還付はまだ無い場合

会計・税務両方の面で整理が必要です。

①未払金を支払い、消費税の増加分の還付もあった場合

原材料は期末には、前期とは違う金額になっています。

会計上 期首の原材料は修正申告後の正しい金額に直さなければなりません。

以下の仕訳を計上する必要があります。

(借方)原材料  1,114,200円 / (貸方)前期損益修正益  1,114,200円

その上で、増えた原材料は期首材料棚卸となります。

また未払金も支払っています。

期首の未払金を修正申告後の正しい金額に直さなければなりません。

以下の仕訳を計上する必要があります。

(借方)未払金 50,000円 / (貸方)前期損益修正益 50,000円

消費税の増加分の還付があった場合、以下の仕訳が計上されています。

(借方)現金預金 4,000円 / (貸方)雑収入 4,000円

法人税の申告書上

原材料の修正分については、申告書上は前期に収益(益金)として計上してます。

別表4で今期の会計上の前期損益修正益 1,114,200円を打ち消さなければなりません。

減算項目に「原材料認容」として記載します。

また、未払金の修正分については、申告書上は前期に収益(益金)として計上しています。

別表4で今期の会計上の前期損益修正益 50,000円を打ち消さなければなりません。

減算項目に「未払金」として記載します。

また、消費者の修正分も申告書上は前期に収益となっているので、別表4で今期の会計上の雑収入4,000円を打ち消さなければなりません。

減算項目に「未収還付消費税等」として記載します。


別表5(1)は載っている資産、負債が無くなったときに、減少させます。

今回の場合、原材料、未収還付消費税等、未払金ともすべて無くなっているので、残が0になるようにする必要があるのです。
(残っている場合は、ここは触らない)

②未払金を支払い、消費税の増加分の還付はまだ無い場合

この場合、上記と比べて異なる点は、消費税増加分の還付がまだ無いところです。

以下の仕訳が計上されていません。

(借方)現金預金 4,000円 / (貸方)雑収入 4,000円

法人税の申告書上

原材料の修正分、未払金の修正分については、先と同じで減算項目に記載します。

また、消費者の修正分については動きがないで何もしません。

別表5(1)は載っている資産、負債が無くなったときに、減少させます。

今回の場合、原材料、未払金は無くなっているので、残が0になるようにする必要があるのです。

未収還付消費税等は何もしません。4,000円のまま残しておきます。

まとめ

法人税の修正申告はたまにしかやらないので備忘録を残しました。

時間経ってから自分の助けになりますように。

編集後期

この週末は富士山の5合目(山梨県側のスバルライン)に行ってきました。

天気は曇りでしたが、子どもたちにとっては初の5合目を経験させることができて良かったです!

▼雲間から見える山頂

▼スバルライン5合目の施設風景