エクセルの良いところは、表を使って様々な計算ができることです。
それが「表計算ソフト」と言われる所以です。
まず、最初に覚えるべきなのは「四則演算」機能でしょう。
四則演算とは、+(足す)-(引く)×(掛ける)÷(割る)の4つを使った計算のことです。
1、四則演算機能を使えれば電卓は不要
例えば売上高と売上原価から、原価率と利益率を計算する場合、
・原価率=売上原価÷売上高 ・利益率=1ー原価率
となります。
ある月の売上高と売上原価がそれぞれ
・売上高 554,342円 ・売上原価 473,892円
だとしたら、
・原価率=473,892÷554,342=0.855(小数点以下第4位を四捨五入)
・利益率=1ー0.855=0.145
となりますが、エクセルではこの原価率と利益率の計算式をセルにを埋め込むことができます。
セルE6に入力した売上高 554,342と、セルE7に入力した売上原価 473,892 から計算し、原価率をセルE9に、利益率をセルE10にそれぞれ表示させる場合、これらのセル(E9、E10)に数式を入力します。
・原価率の計算式の入力はセルE9を選択し =E7/E6 と入力し、
・利益率の計算式の入力はセルE10を選択し =1-E9 と入力します。
なお、数式内のセル(E6、E7、E9)の入力は、該当するセルをマウスを使ってクリックして選択するか又は、方向キーを動かして選択することによっても可能です(手入力よりも、これらの入力方法の方が一般的です。)。
このように計算式を入力してEnterキーを押すと、E9に原価率、E10に利益率の計算結果が表示されます(下の図は小数点以下第4位で四捨五入してあります)。
この状態で、売上高(E6)、売上原価(E7)の入力金額を変更すれば、原価率、利益率の計算結果も自動的に再計算されます。
例えば、売上高(E6)500,000、売上原価(E7)423,500 と入力した場合、原価率(E9)、利益率(E10)は下のようになります。
数式は一度入力してしまえば、再度入力し直す必要はありません。
電卓を使って原価率を計算する場合
①「473,892(売上高)」 ⇒②「÷」 ⇒③「554,342(売上原価)」 ⇒④「=」
と計算の度に4段階の入力をしなければなりません。
エクセルでは一度計算式を入れ込んでしまえば
①「473,892(売上高)」 ⇒②「554,342(売上原価)」
の2段階の入力をするだけで済みます。
2、四則演算は業務効率化への第一歩
上記のように、1ヶ月分の原価率、利益率を計算するだけなら電卓を使ってもエクセルを使ってもほとんどかかる時間は変わりません。
しかし、12ヶ月分すべての原価率、利益率を計算する場合、電卓を使うと非常に手間がかかります。
エクセルでは、次のようにして12ヶ月分の原価率と利益率の計算式を入れ込むことができます。
①セルE9、E10を選択(マウスの左クリックを押したまま、2つのセルをドラッグ)
↓
②右クリックして、「コピー」を選択(ショートカットキー Ctrl+C でも可能)
↓
③セルF9~P10を選択(マウスの左クリックを押したまま、F9~P10 をドラッグ)
↓
④右クリックして、「貼り付け」を選択(ショートカットキー Ctrl+V でも可能)
売上高と売上原価を入力すべきセル(F6~P7)に何も数値が入力されていないと、上の操作後にセル(F9~P10 )に #DIV/0! と表示されますが問題ありません。
後から売上高、売上原価を入力すればちゃんと計算結果が表示されます。
12ヶ月分の原価率と利益率を計算する場合、電卓を使うと1ヶ月分の計算で
原価率の計算で ①「473,892(売上高)」 ⇒②「÷」 ⇒③「554,342(売上原価)」 ⇒④「=」 の4段階
利益率の計算で ⑤「ー」 ⇒⑥「1」 ⇒⑦「=」 の3段階
(利益率は-値で出てきます(±の符合が逆なだけ)。)
と合計7段階の入力が必要です。
これを12回繰り返さなければなりません。合計で84段階の入力作業が必要になります。
また、計算結果を表にまとめる必要がある場合、電卓で計算したときは上記入力作業に加え、原価率、利益率の計算結果を手書きで紙に書き出さなければならなくなります。
手書きは非常に手間です。
それに対して、計算式が入力されたエクセルシートを使えば
①「473,892(売上高)」 ⇒②「554,342(売上原価)」
↑と同様の2段階の入力を12回繰り返し、合計で24段階の入力作業で済みます。
入力回数が減れば入力時間が短縮されます。また、入力ミスが起こるリスクも低くなります。
計算結果を表にまとめる必要がある場合も、この計算シートをそのまま印刷して使えば事足ります。
3、一度計算シートを作ってしまえば使い回せる
エクセルシートを使って計算する場合も、シートの体裁を整えるためにレイアウトを決めたり枠を描いたりと一定の手間はかかります。
しかし、一度計算式を入れ込んだシートを作ってしまえば、以後同じ計算をするときにはそのシートを使い回すことができます。
上記の例で言えば
・12ヶ月分の原価率と利益率の計算を毎年やらなければならない場合や、
・同じ年に何社分もやらなければならない場合、
・さらに他の項目の計算も併せてやらなければならない場合
などもあると思います。
作業のボリュームが大きければ大きいほどエクセルを使うメリットは大きくなります。
エクセルをこれから覚えたい人は、まずは同じ計算を何回もやらなければならないような案件で、四則演算から初めてみることをお勧めします。