修士論文(税法論文)の作成を通じて、租税法に触れることができました。
法律とガチで向き合う機会は、日頃の実務の中ではあまり無かったので、新しいことが勉強できて本当に良かったです。
ただ、租税法は学問なのでどうしても日頃の実務とはかけ離れたところがあります。
しかし、この修士論文の作成を通じて身に付いたものは租税法の知識だけではありません。
他にも副産物として、「考える力」と「文章を書く楽しさ」が身についたと思います。
これらは日頃の実務にも活きてきますし、これから先も必要になるものだと信じています。
1、考える力
会計業界のこれから
会計事務所で日頃やる仕事は、財務諸表や申告書をルール通りにきっちり作ることです。
ミスなくこれらをやることは大変なことで、異業種から転職してきた自分にとっては、慣れるのに苦労しました(今もなお大変です)。。。
しかし、従来型の会計・税務の業務は会計・税務ソフトの進歩によりどんどん人の手から離れていく傾向にあります。
自分は会計・税務ソフトと合わせて、 Excel VBA や UWSC でプログラミングを行うことでルーチン業務を自動化することを日々考えています。
今は、決まりきった作業をきっちりやるのが得意なコンピュータを上手に使うことが当たり前になっている時代で、これからますますそうなる中で会計業界の人はどう働くべきなのか?? ってやっぱり疑問になります。
ルーチン業務はどんどん減る傾向にあるし、意識的に減らす必要もあると思います。ルーチン業務が減った代わりに人がやるべきことは、やはり「考えること」ではないでしょうか。
・より良いサービスは何か?
・これからの会計事務所の付加価値は何か?
考えて作り出さなければならないと思います。
そして、考える力は日頃から訓練しないと鍛えられないと実感しています。
エンジニア時代に、上司に「考えることこそが仕事だ!!」とよく言われました。
「物事をロジックで整理・説明すること」
とにかくこれ↑を求められる世界でした。
その世界を離れて数年経っていましたが、税理士になる過程で大学院に入り修士論文の作成を通じて、再び「考える力」を訓練する経験ができたと思います。
修士論文の作成
重要な学説や裁判例は何回も読み返して、何を言っているか深く考えなければなりません。
学説・裁判例を肯定するにせよ否定するにせよ、必ずロジックで整理して理解しなければなりません。
また、自分の言いたいことを言うためには、必ず根拠が必要です。
そのためには、「こうだからこう」というロジックでの説明が必要になります。
自分の考えを、後押してくれる解釈を論文や裁判例の中から探さなければならないこともあります。
とにかく考えることずくしでした。
決まりきったことをやるのとは違いました。
改めて、考えることの大変さと楽しさを実感しました。
2、文章を書く楽しさ
もう一つ、修士論文を書いたことによって得られた副産物として、「文章を書く楽しさ」を覚えたという点があります。
修士論文の執筆は、普段の実務と違って杓子定規にやらなければならないものではありません。
もちろん、引用・参照のルールなど形式には想像以上に厳しい世界ですが、全体の構成をどうするか、自分の考えをどう論理展開するかなどは自分で考えることができます。絶対的な正解はありません。
自分のオリジナリティを出す余地が存分にあるので、その点が自分には合っており、長い文章を書くことが好きになりました。
その経験がブログの執筆にも活きています。
自分のブログの文章はまだまだ上手くないと思いますし、読み手の方々が楽しめているかは分かりませんが(><)、自分自身は文章を書くことを結構楽しんでいると思います。 修士論文ほどではありませんが、ブログにも記事ごとに一応は構成があります。修士論文で構成を考える経験をしたことによって、ブログのような小文章の構成を考えることも得意になったと思います。
3、まとめ
修士論文(税法論文)を書いて本当に良かったです!
税理士試験の勉強は非常に労力がかかります。
しかし、「物事を深く考える力」は税理士試験よりも修士論文の方が身に付くと思っています。
「考える力」は業種を問わずに役に立つことですし、いつの時代でも必要なことだと思います。
身に付けて時代遅れになることはありません。
また、「文章を書く楽しさ」も覚えて損は無いと思います。
インターネットで個人でも情報発信できる時代ですし、文章を書くのが楽しければそれを楽しみながらやれるので。
決して楽ではありませんでしたが、得られたものは多く、やった甲斐があった思っています!