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なぜ消費税は赤字でも支払わなければならないのか?


法人・個人事業主が自ら申告して支払わなければならない税金として以下のものがあります。

●法人 ・・・法人税、地方法人税、法人住民税(市民税、県民税)、法人事業税、地方法人税特別税、消費税
●個人事業主 ・・・所得税、個人住民税(市民税、県民税)、個人事業税、消費税

会社・個人事業の業績が思わしくなく、残念ながら赤字となってしまうことがあります。

期末が近づき、「今期は赤字だから税金は支払わなくていいんだ!!」と 

赤字 = 税金を支払わなくてもよい

と間違えて認識してしまう方がけっこういるように思えます。

利益が出ていない場合でも、法人・個人事業主ともに住民税の均等割は支払わなければなりませんし、消費税の課税事業者となる場合(2期前の売上高が 1,000万円超の場合など)には消費税を支払うすることを忘れてはいけません。

消費税は利益に関係なく支払わなければならないのです。

※この記事では、法人税、地方法人税、法人県民税、法人市民税、法人事業税、地方法人税特別税をまとめて「法人税等」と呼ぶことにします。

レシート

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1、なぜ赤字だと法人税等、所得税・個人住民税・個人事業税を支払わなくても良いのか?

利益は収入と費用の差額により計算されます。

利益 = 収入 - 費用

そして法人の法人税等、個人の所得税・個人住民税・個人事業税は、非常にざっくりと言えば、この利益(≒所得)に税率を掛けて計算します。

利益(≒所得)が マイナスの場合、これらの税金は無しになります。

「利益がマイナスということは、財源が無いことになるので税金も無しになる」というように、イメージすれば良いでしょう。

ただ、先にも書いたように、住民税の均等割だけは赤字でも支払わなければなりません(法人住民税は中小企業だと数万円、個人住民税は数千円です)。

2、なぜ赤字でも消費税は支払わなければならないのか?

さて、厳しいのは赤字でも支払わなければならない消費税です。

「何で赤字なのに支払わなければならないの?」という疑問を持たれる方は多いようです。

赤字だと資金繰りも厳しいのにこの上消費税まで支払わなければならないのかと。。

しかし、これは仕方のないことと理解して下さい。

順を追って理由を説明しますね。

法人税等、所得税が直接税と呼ばれるのに対して、消費税は間接税と呼ばれます。

直接税というのは税金の納税者と負担者が同じ税金のことです。

例えば、A社の法人税は A社が自分で負担して自分で支払います。

商店を個人で営むBさんの所得税はBさんが自分で負担して自分で支払います。

一方で間接税というのは税金の納税者と負担者が異なる税金のことを言います。

日頃の買い物を思い浮かべて頂ければ分かりますように、消費税は日々われわれ消費者が負担していますよね。

スーパーで野菜を買っても、文房具屋でボールペンを買っても、マッサージ屋でマッサージを受けても支払いの中には 8%の消費税が含まれています。

消費者の物またはサービスに対する支払いは、提供する側(上で言うスーパー、文房具屋、マッサージ屋など)にとっては売上となるわけです。

そして、その売上の中に含まれている消費税分は消費者から一時的に預り後で支払うことになるんですね。

売上高に含まれる消費税 ↓

売上に含まれる消費税

物又はサービスを提供する側は消費税の納税者となり、消費者が負担した消費税を支払わなければなりません。

さて、このように預かった法人・個人事業主の利益の計算は消費税を抜いた状態で行います。

上記の図の中でいう「売上高(税抜)」を使いますので、利益の計算には消費税は含まれません。

つまり、消費税は利益とは関係ないのです。

支払う消費税の計算に際しては、一年間の取引をまとめて、売上髙に含まれている消費税から費用に含まれている消費税を控除して(マイナスして)正味の金額を支払うことになります。

消費税の支払額

ほとんどの場合において、売上高に含まれる消費税の方が費用に含まれる消費税よりも大きくなり支払う必要が出てきます。

(逆に費用に含まれる消費税の方が大きければ還付になるわけですが、そのケースの方が少ないです)

さて、利益について、赤字の場合は費用が売上高を上回っています。

消費税還付

消費税率は一律 8% であり、消費税は税抜金額に税率を掛けて計算するものなので、費用(税抜)が売上高(税抜)よりも大きければ、

一見、費用に含まれる消費税の方が売上高に含まれる消費税よりも大きくなり還付になりそうに感じられます。

しかし、実際にはそうはならない場合が多いのです。

消費税還付にならない

費用の中には給料、保険金、減価償却費のように消費税の課税対象とならない(消費税を含まない)ものが多くあるからです。

売上髙はすべてが消費税の課税対象となるのに対して費用はそうはならないので、

費用(税抜)>売上高(税抜)

となる場合でも、消費税を比べると

費用に含まれる消費税 < 売上髙に含まれる消費税

となる場合がほとんどなのです。

そうなると先に示した様に、正味の金額を支払わなければなりませんよね。

消費税の支払い

これが、赤字でも消費税を支払わなければならない理由です。

3、まとめ

法人税等や所得税と消費税は性質が異なるものです。

消費税を赤字でも支払わなければならない理由を説明してみました。

一度手元に入ってきたものを支払わなければならないのは嫌なものです。

それは誰にとってもそうでしょうし、気持ちはよく分かります。

しかし、消費税は仕組み上そういうものだと理解して支払って頂きたいです。

赤字だから税金を支払わなくてもいい! と勘違いして資金の準備をしていないと、この消費税が思わぬ出費になってしまい資金繰りの面で大きな影響を及ぼしかねませんので気を付けましょう。

消費税の支払い額は大きいですので。