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修士論文(税法論文)の作成が始まる前にやっておいた方が良いこと

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税法2科目免除のための修士論文(税法論文)の執筆を開始する時期は、殆どの大学院で2年生になってからだと思います。

修士論文のテーマ選定作業がはじまってから、本格的な勉強をすることにはなりますが、それよりも前の段階でもやっておいた方が良いことはあります。

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1、講義のレポート課題は手を抜かずに対応する

私が在籍した大学院では、履修した科目は講義の最後の方でレポート課題が出ました(大学院によってはレポート課題のみでなく、試験がある場合もあるかと思います)。

各科目とも、だいたいA4用紙で3~5枚程度(字数制限がある場合もあり)を課題として書かなければならず、少なくとも1ヶ月のうち「休日2日間(場合によっては +平日1~2日)」は対応に追われていました。

レポート課題は手を抜かず対応した方が良いです。提出することが最重要ではありますが、しっかりやることで以下の点で修士論文の作成にプラスになります。

法律学に慣れる・基礎知識が身に付く

おそらく、学生に一番勉強してほしい箇所がレポート課題として出されますので、対応するために様々は文献(単行本、論文、判例)を読むことを通じて、その科目の重要な部分を学べると思います。

自分の実感としては、各科目とも課題をこなすことで、法律学に慣れることができ幅広く基礎知識が身に付きました。

文献調査の練習

また、「様々な文献を読み、必要な箇所を探し出す作業に慣れる」という点が挙げられます。これに慣れておけば、後の修論での文献調査がスムーズに進むようになります。

インターネット全盛の時代ではありますが、税法関係の文献は大部分が電子化されていないので、修士論文を作成するときには必ず図書館に足を運び(あるいは文献を郵送してもらい)様々な文献を調べまくる必要が出てきます。

「図書館を上手に利用する」「文献の中で引用・参照している重要な文献をさらに調べる」といった行為は、急にスムーズにできることではないので、早めに慣れておく方が良いでしょう。

近くに図書館が無い人は、国立国会図書館の遠隔複写サービスも早めに利用してみることをお勧めします。

修士論文(税法論文)作成のために、集めるべき文献についてこの記事↓でお話ししました。集める文献を選んだら、次は実際にそれらの論文・裁判例を集めなければなりません。インターネット上に公開されているものも一部ありますが、税法関係の文献の大部分はまだ紙の資料のままです。図書館に足を運ぶなりして、地道に集めなければなりません。私の場合、文献収集は・中部地方の大学(主に名古屋大学)の図書館に出向いてコピーする・国立国会図書館の遠隔複写サービスを利用してコピーを郵送してもらうの2つにより対応しました。1、大...
修士論文(税法論文)作成のための文献の収集方法、大学の図書館、国立国会図書館の... - My タックスノロジー

引用・参照の形式に慣れる

次に、「引用・参照の形式に慣れる」という点も挙げられます。
法律論文は引用・参照元を形式に従って記載しなければなりません。単行本、雑誌論文、判例、コンメンタール・・・など文献ごとに厳密に記載の仕方が決まっています。

修士論文(税法論文)の作成において、形式はきっちり守らなければなりません。形式というのは、引用・参照のルールのことです。 法律論文の形式は厳密に決められていますので、早い段階で慣れた方が良いでしょう。法律文献等の出典の表示方法形式を守っていない論文は、中身も悪いと見なされてしまいます。 想像以上に形式には厳しい世界です。論文を執筆し始めてから形式に間違いが多いと、指導の際に形式ばかり指摘を受けてしまい、肝心な論文の中身の指導が受けられなくなってしまいます。実質的な指摘をして貰いにくくなってしま...
修士論文(税法論文)における引用・参照 - My タックスノロジー

レポート課題の段階では、まだ形式が整ってなくても大目に見てもらえることもあるとは思いますが、これも修論作成では厳密にやらなければならないことです。

急に慣れるものではないので、徐々に覚えていった方が良いでしょう。

構成を考える練習になる

また、「構成を考える練習になる」という点もあると思います。修士論文は1つの章、1つの節、1つの段落、1つの文の全てが全体の構成の一部を構成しており、

・どのような内容をどの章で書くか
・この段落でどれくらいの分量を書くか
・この1文は何のために書くか

といったことを考えながら書かなければなりませんので、そのための練習は早めにやっておいた方が良いでしょう。

2、判例をいくつか読む

判例は、大量に読み込む必要はないものの、2~3事例は読む練習をしておくことをお勧めします。
修論作成の際には、自分の考えを後押しするために判決文・判決要旨を引用することがあり、大量の判例を読み込むことになりますが、これも最初はなかなかスムーズに読み進めることができず慣れるまでに時間がかかります。

私が在籍した大学院では、1年のスクーリングの際に判例2つの内容を解説する講義があり、それに向けて事前に判例を読んだのですが、判例の構成に慣れていなかったことや独特な言い回しに戸惑ったこともあり、内容を理解するのに時間がかかりました。

判例は、大まかに言えば判決文がその判例の「結論」ということになり、判決要旨にその結論に至る「理由」が書いてあります。
「その判例が何を根拠(理由)に、何を言おうとしている(結論)のか」だけでも、意識しながら読む練習をしておくと良いでしょう。

3、論点を意識する

普段から論点を意識することが大事です。これは、上記のレポート課題や判例読込みの場合に限らず、普段の講義を聴く際にも言えることだと思います。

論点というのは、「論ずるべき点」のことです。

工学部の修士論文の場合、実験データを測定しそれを基に考察を加えていくため、データという動かない事実があることが前提なのに対し、法律論文の場合はそもそも解釈の上に解釈を重ねて成り立つものなので、自然科学と違い絶対的な正解は無い場合が多いのです(私は、法律論文というものが何を書くべきものなのか、大学院に入るまで想像すらできませんでした)。

税理士試験の税法2科目免除のために、大学院(法学専攻)で修士論文を書いてこの3月に卒業しました。さて、自分は元エンジニアなのですが、最初メーカーで働き始める前にも大学院(工学専攻)を卒業しています。私が在籍した大学の工学部の学生は、殆どの人が大学院まで進学して卒業した後に、企業に就職して行きました。工学部には企業への就職の際に学校推薦なる制度があったのです(今もあると思います)。自分が就職を希望する企業の学校推薦枠の中に入れれば、その企業に優先的に採用してもらえるという制度です。その推薦枠は企業...
理系大学院と文系大学院の違い - My タックスノロジー

そして、法律論文を書くためにはこの論点が欠かせません。論点を探し出し既に議論が起こっているところに自分も参加して自分の見解を述べることになる場合が多いので、どういう点で議論の対立が起きているのか日ごろから意識すると良いでしょう。

「学説でこの人はAと言うけど他の人はBと言う」「裁判の判決が下級審から最高裁でひっくり返った」など、論点に対して様々な見解があるのが普通です。

これを、意識するだけでもだいぶ違うと思います。

4、まとめ

大学院での2年間を終えて、改めて振り返ると修士論文作成以前にもやっておいた方が良いとことはあると考えて、書いてみました。

終わった後にまとめた内容なので、自分自身が上記の全てをできていたというわけではありません(すみません)。。

ただ、上記のことはものすごく労力を要するというものではなく、日々の講義やレポート課題をこなす中で少し意識を傾けるだけでもできることだと思うので、是非参考にして頂ければと思います。

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