Excel でグラフ(散布図)を描く方法について以下の記事で説明しました。
Excel(エクセル)のグラフは、毎日であれ月々であれ継続的に記録したデータの傾向把握や、数値の大小比較などに便利な機能です。元となる数値があり、それを見えるようにして分かりやすくするのがグラフです。データの分析をしたい場合やデータの傾向を他人に伝えたい場合には欠かすことができない機能です。今日は、代表的なグラフである「散布図」について説明したいと思います。1、時系列のデータや日々の記録の整理に適したグラフ「散布図」散布図はデータの数が多い場合に適したグラフです。よく数学で出てくるx軸とy軸の2軸にデ... Excel(エクセル) データの傾向把握などに使うことができるグラフ機能 - My タックスノロジー |
エンジニアが実験をする際にグラフ機能を上手く使えば、データ(測定項目)の変化に早く気付くことができ、また実験のやり直しを防ぐことができるようになります。
1、グラフ(散布図)を描く際のポイント
今回取り上げるグラフは散布図で、作成手順は以前の記事と全く同じです。
しかし、既にシートに並べられたデータをグラフにするのではなく最初にデータが全くない状態でグラフを描いておき、そのグラフに後からデータをプロットしていくというやり方になります。
以下のシートで、これからx、yのデータが入力されていく予定の範囲(E1~F15、1行目は見出し)を選択し散布図のグラフを描きます。
するとデータが全く無くてもExcelのグラフ機能は働き、横軸(x軸)、縦軸(y軸)だけのグラフが作成されます。
そして、シートに後から x、y のデータを入力していけば、あらかじめ作成したグラフ上にデータがプロットされていきます。
Excel で作成したグラフは、元となるデータが変化すればそれに合わせて変化するのです。
それを上手く活かすところが今回のポイントです。
やることは極めて簡単!
「グラフ機能で散布図を描くだけ」ですが、たったそれだけでもその効果は絶大です!
データの傾向の変化に気付くことができ、実験のやり直しを防ぐことができるのでエンジニアにとってとても有用です。
2、実験中にリアルタイムでデータの傾向を把握することで、要因分析がしやすくなる、業務のやり直しが無くなる
エンジニアが測定機器を使って実験する場合において、測定したデータを測定直後にExcelシートに入力し、グラフでデータの傾向を把握しながら実験を進めると良いです。
逆にまずデータの測定だけを先に行い実験を終わらせた後に、まとめてデータの整理をする(グラフを描く)という進め方はしない方が良いと思います。
ごく簡単な例として、電気回路に抵抗(一定)を付けて電圧を高くしていった場合に、その抵抗を流れる電流を測定するとします。
この場合測定項目は電流になります。
横軸(x軸)を電圧、縦軸(y軸)を電流として測定をはじめる前にあらかじめ散布図のグラフを描いておきます。
電圧を高くしていき、その電圧に対する電流を測定の度にExcelシートに入力してグラフを確認しながら実験を続けます。
ここで大切なのが、どのような「結果」になるかあらかじめ「予測」を持った上で実験に取り組むということです。
この例で言えば、抵抗(一定)に電圧をかけて高くしていった場合の電流の測定なので、電圧と電流は比例することがあらかじめ予測されます。
※理系の知識が絡んだややマニアックな話ですみません。
さて、測定を続けていったらある電圧の時に、データの傾向が予測(電流は電圧に比例する)から逸脱したとします。
このような測定結果が出てきた場合、原因をはっきりさせなければなりません。
・単なる測定ミスで再度測定したら正しい結果がでるのか?
・電圧計、電流計の故障か?
・抵抗の値が変わってしまったのか?
・新たに発見された現象なのか?
できる限り、実験を行っている最中に原因をはっきりさせて自分が納得できるデータを測定できた方が良いこと間違いありません。
しかし、もしグラフで傾向を確認していなかったらこの事実にさえ気付けないかもしれません。
数値だけを見てもデータの傾向の変化は見つけづらいものです↓
数値を見るだけでは気付けないことでも、グラフで「見える化」することにより気付けることはよくあります。
また、もし仮に、何も考えずにまず測定だけを先に行い実験が終わってからグラフを描くという流れで進めると、傾向が逸脱していた(予測と異なった)場合に原因の分析が難しくなります。
後からだと測定した時の状況など思い出しにくいことも多いです。
また、再度測定したくなっても実験装置を片付けてしまっていたら、また装置を組み直すところからはじめなければならず非常に手間がかかります。
これが無駄な業務のやり直しということです。
⇒測定したデータを測定直後にグラフにプロットし、傾向の変化を確認しながら実験を進める 悪い実験の進め方
⇒まずデータだけを測定して実験を終わらせた後に、データをグラフにプロットする
要はグラフを描きリアルタイムでデータの傾向を確認しながら実験を進めることで、「考えながら」実験ができるということなのです。
傾向の逸脱(予測と異なる)の原因は、実験をしている最中にリアルタイムで考えるのがベストなのです。
4、まとめ
エンジニアが実験でデータの測定を行うときは
・これから測定するデータの結果をあらかじめ予測しておく
・あらかじめExcelでグラフを描いておき、測定したデータの傾向をリアルタイムで確認する
こうすることで、予測と実際の結果のずれに気づくことができ、原因の分析に繋がります。
Excelのグラフは、考えるためのきっかけとなり、また考えるための道具となり得ます。
上手に使いこなし、心強い味方にしましょう!