先日ニュースになりましたように、節税保険に対する見直しが入り、国税庁が定期保険についての改正案を出しました。
「法人税基本通達の制定について」(法令解釈通達)ほか1件の一部改正(案)(定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱い)等に対する意見公募手続の実施について
2018年6月に節税保険に関して、各生命保険会社に金融庁の調査が入り、動向が注目されるようになりました。
先日、日本経済新聞に「節税保険」の実態を調査として、金融庁が生命保険会社に対して特定の商品を対象に調査をするということが書かれていました。節税保険が問題視されているためです。*2018年6月29(金)日本経済新聞見出し1、問題となっている商品問題になっているのは節税をアピールしている特定の「法人向け定期保険」です。定期保険というのは、法人が契約者となり役員・従業員を被保険者とする保険です。死亡時受取人を法人とすれば、保険料の全額が損金になります。また、死亡時受取人が被保険者の遺族で、役員・特定の従業... 金融庁が生保各社に対し「法人向け節税保険」の実態を調査するというはなし - My タックスノロジー |
そして、2019年になってから各社とも節税保険の商品を販売停止するようになっていましたが、
そのような状況の中、国税庁が今回の定期保険についての通達の改正案を出したところであります。
1、調査対象となった節税保険とは?
金融庁の調査対象となっていた節税保険が、どのようなものかざっくりと振り返っておきます。
・法人を契約者
・従業員又は役員を被保険者
・受取人を法人
とする定期保険です。
定期保険は被保険者が亡くなった場合に保険金が受取人に入ってくるものですが、この節税保険の場合は解約することが前提となっていました。
保険期間の途中で、解約返戻金(解約したときに戻ってくるお金)がピークになる時がありそこで解約するというものです。
保険会社によって違いますが、ピークでの返戻率が9割ほどのところもあったようです。
保険期間の開始から解約するまでの間に、法人が保険会社に支払う保険料は全額損金になります。
そして、ピーク時に法人に入ってきた解約返戻金をそのまま退職金に当てるということ。
入ってた解約返戻金と同額の退職金を支払えば、法人としては益金と損金で打ち消し合い±0になります
ですので、ここでは法人税等は課税されません。
保険期間の開始から解約までの期間で見た場合に、支払ってきた保険料が損金となる分の節税効果があるということになるわけです。
支払う保険料が大きく節税効果が大きかった上に、解約返礼率も高く支払った保険料の大部分が戻ってくるので「ちょいやりすぎなんじゃないの!?」ってことで、金融庁の調査が入ったのがはじまりで、現在のような動向になっているわけですね。
2、通達改正案の内容
これまでに結んだ契約について
さて、まずはこれまでに既に契約済の案件については、遡って変更されることはありません。
保険料が全額損金の商品であれば、そのままの扱いになります。
既に契約していた法人は幸運ですね。
通達改正案
さて、どのような通達改正案か整理したいと思います。
保険期間が3年以上で、かつ最高解約返礼率(ピーク時の解約返礼率)が50%を超えるものに加入した場合にこれまでと扱いが変わります。
法人が保険会社に保険料を支払うときに、一部を資産計上しなければなりません。
最高解約返礼率が50%超70%以下の場合
◆それ以降は保険料の全額を損金とする
◆資産計上した分は保険期間の 75/100 の期間経過後から終了までに均等に取り崩し損金とする
最高解約返礼率が70%超85%以下の場合
◆それ以降は保険料の全額を損金とする
◆資産計上した分は保険期間の 75/100 の期間経過後から終了までに均等に取り崩し損金とする
最高解約返礼率が85%超の場合
◆それ以降は保険料の全額を損金とする
◆資産計上した分は最高解約返戻率となる期間経過後から終了までに均等に取り崩し損金とする
3、まとめ
「法人税基本通達の制定について」という資料を見ながらまとめてみました。
現状は改正案の段階で意見を求めているところなので、今後どのようになっていくか動向を確認して行きたいところです。
編集後記
昨日(4/15)は個人の顧問先の3ヶ月分の月次対応。丸一日かけて処理し終わりました。
夜は freee を思い出すため1時間半ほど操作確認しました。