年末調整が終わり年明けてから、多くの会社では従業員への所得税の還付や追加徴収をしたことと思います。
今、会計事務所は色々と書類の提出期限が迫っている時期です(> サラリーマン(給与所得者)の源泉徴収と年末調整 - My タックスノロジー |
今日は、年末調整における還付の仕組みについて整理したいと思います。
年末調整の還付金(所得税)の計算の事例をYoutubeでお話ししておりますので参考にしていただければと思います▼▼
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1、源泉徴収と年末調整
会社は従業員の月々の給料から所得税を源泉徴収します。
給料明細に「所得税」と書かれた金額がありますが、これが源泉徴収された所得税(源泉徴収税額)のことです。
会社は毎月(納期特例の場合は半年に1回)、従業員の給料から所得税を源泉徴収して、税務署(国)に納めています。
そして、年末になったら従業員一人一人の一年間(1〜12月)の所得税を計算します(所得控除や税額控除を加味)。これを年末調整と言います。
1〜12月まで月々に源泉徴収した金額が、実際の1年間の所得税額よりも多ければ、天引しすぎた分を従業員に返さなければ(還付)なりません。
また、逆に月々に源泉徴収した金額が実際の1年間の所得税額よりも少なければ、足りない分を追加で給料から天引しなければ(追加徴収)なりません。
従業員によって、還付になる人もいれば追加徴収になる人もいます。
※還付になるか追加徴収になるかは、生命保険料の支払いの有無、扶養親族の変化など個々人の状況の違いにより異なります。
2、翌年還付と還付未済高
従業員が3人の会社で
・従業員A が32,500円 還付
・従業員B が7,700円 追加徴収
・従業員C が45,000円 還付
となった場合を考えてみます。
年末調整が終わった後、1月に会社は個々の従業員に対し還付又は追加徴収することになるでしょう。
・従業員A に32,500円 還付
・従業員B から 7,700円 追加徴収
・従業員C に 45,000円 還付
この場合トータルでみれば、会社は従業員へ69,800円還付しなければならないことになります。
そして、会社は会社で税務署(国)に対して既に多く支払ってしまった 69,800円を返してもらわなければなりません。
分かりやすいイメージで言えば
①税務署(国)から69,800円返してもらう
↓
②従業員に69,800円返す
ということが行われなければならないということです。
この69,800円は会社を経由して、税務署(国)から従業員にわたるようなイメージになります。
しかし、税務署(国)が会社に返すお金については、実際にはこのような流れにはなっておらず翌年還付という方法が採られています(おそらく事務処理を減らすことを目的として)。
翌年還付というのは、年末調整により税務署(国)が会社に返すべきお金を、翌年の納付額からマイナスしていくことです。
これにより、上の図で示したように普通に還付を受けたのと同じことになります。
例えば、会社が税務署(国)から還付を受けるべき金額が 69,800円の場合
年末調整が終わった段階では、還付未済高 (まだ税務署が会社に返していない金額)が 69,800円ということになります。
会社は翌年1月、2月・・・と、また従業員から源泉徴収します。
「その翌年に源泉徴収した所得税から、還付分を相殺した金額を納付すれば良いですよ!!」
というのが、翌年還付です。
1月の源泉徴収税額が34,500であれば、還付未済高69,800円のうち、34,500円が相殺されて、納税額は0円になります。
この相殺が終わった段階で、還付未済高は35,300円(=69,800円−34,500円)となります、
また、会社は従業員から源泉徴収した 34,500円を税務署(国)に納付しなくても良いので、国から還付を受けるべき金額69,800円のうち 34,500円は補填されたのと同じことになります。
続いて、2月の源泉徴収税額が37,300であれば、還付未済高35,300円全てが相殺されて、納税額は2,000円(=37,300円−35,300円)になります。
この相殺が終わった段階で、還付未済高は0円(=35,300円−35,300円)となります、
つまり、翌年還付は完了したということです。
また、会社は従業員から源泉徴収した 37,300円のうち35,300円は税務署(国)に納付しなくても良いので、1月分の34,500円と合わせて国から還付を受けるべき金額69,800円(=34,500円+35,300円)全額が手元に残ることになります。これにより、税務署(国)からトータルで69,800円の還付を受けたのと同じことになります。
3月以降は、普通に源泉徴収税額を納めていくことになります。
この例における翌期1~3月の源泉徴収税額、還付未済髙との相殺額、納付額をグラフにするとこのように↓なります。
3、まとめ
翌年還付と還付未済高については、頭がこんがらがりますね。
源泉徴収という仕組みは、個人が国に納めるべき所得税を間に会社が入って、代わりに納めるというものなので3者が関わってきます。
それゆえ、会計事務所で働き始めたばかりの人はなかなか分かりにくいところもあると思います。
私も最初はさっぱり分かりませんでした。
でも、仕組みが分かるとパズルのようで面白いですね!
なお、年末調整に関する仕訳についてはこちらの記事に示しました↓
年末調整と翌年還付について、以前に記事にしたことがあります。源泉徴収義務者である法人又は個人事業主は、経理業務において所得税の源泉徴収と納税について「仕訳」をする必要があります。私が会計事務所に勤務し始めたばかりのころ、この年末調整と翌年還付に関する仕訳に慣れるのに苦労しましたので、同じようにややこしいと感じている方に向けて説明したいと思います。1、源泉徴収と納税源泉徴収義務者である法人又は個人事業主は、毎月従業員から所得税を源泉徴収して、翌月の10日までに(納期特例の場合は7月10日と1月20日の年... 源泉徴収義務者の年末調整と翌年還付に関する仕訳 - My タックスノロジー |
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