建設業の仕事には、道路の補修工事、建物の外構工事、とび工事など様々なものがありますが、会計面で言えば他の業種と比べて大きな金額のお金が動くことが特徴的です。
また、会計処理も他の業種と比べてやや特殊です。
ですので、会計処理のうっかりした間違いで損益が大きく変わるので、注意してチェックする必要があります。
建設業の勘定科目については、こちらの記事に書きましたので参考にして下さい ↓
建設業の会計は、小売業や卸売業などと比べてやや複雑です。いわゆる「工事」というものがあることによって、他の業種には無い勘定科目が出てくるからです。今日は建設業に特有な勘定科目と、その使い方について説明します。中小企業を前提としますね。1、建設業に特有な勘定科目資産に属する勘定科目貸借対照表の資産の部に属する勘定科目から行ってみましょう!完成工事未収金小売業や卸売業などの他の業種でいう売掛金のことです。売上の計上は、工事完成基準を前提とします。工事完成基準とは、工事が完成した日に売上を計上する経... 建設業に特有の工事に関する勘定科目と使い方を三島市の税理士が解説 - My タックスノロジー |
今日は、決算時に工事途中の案件がある場合に、間違いが多い点に絞ってお話しします!
1、建設業会計、未成工事受入金・未成工事支出金を間違うと影響大!
街中を歩いていると、建設途中の現場を見ることってありますよね?
工事途中の案件が期末にある場合は、会計上気を付けなければならない点があります。
それは以下の2点です。
・未成工事支出金
・未成工事受入金
未成工事支出金
工事途中の案件は、小売業などにおける商品と同じです。
ただ、商品は仕入れたものをそのままお客さんに渡すのに対し、建設業の工事は自分たちで作り上げてからお客さんに引き渡します。
したがって、工事が未完成で引き渡す前だと、小売業における在庫と同じ状態なのです。
ただ、工事を始める前に受注先と契約しているので、小売業の在庫みたいに売れ残ることはありません。
さて、期末に工事途中の案件がある場合は、未成工事支出金という流動資産科目を計上しなければいけません。
工事は基本的に大掛かりなので、小売業の商品(在庫)と比べて金額は大きくなります。
「小売業の商品」と「建設業の未成工事支出金」の違いについてはこちらの記事↓を参考にして下さい。
建設業の会計は特殊です。小売業は商品を仕入れて売りますが、建設業は造った建造物を売ります。建物であれば、人工、外注を使って材料を加工して造り上げます。そして、その完成した建物を売るわけです。さて、建設業はある程度時間をかけて建造物を造ります。そして、完成したらそれを手放すことになります。完成するまでの間は、建設途中の未完成品として建設業者の資産となるわけです。1、建設業特有の勘定科目「未成工事支出金」建設途中の未完成品は、小売業における商品と同じ位置付けの在庫となります。期末に未成工事支出金と... 建設業の会計で出てくる未成工事支出金は小売業の商品と同じ - My タックスノロジー |
期中に実際に支払った、あるいは未払いになっている以下の費用を未成工事支出金科目に振り替える必要があります。
●直接費・・・材料費、労務費、外注費
●間接費・・・上記以外の費用
実際は色々複雑ですがシンプルな例として、ある工事について期中に材料費、労務費、外注費、そして間接費を以下のように支払っていたとします。
・材料費 400,000円
・労務費 250,000円
・外注費 400,000円
・経費 150,000円
仕訳は以下のようになります。
この工事が期末に未完成の場合にはこのまま費用として落とすことはできません。
以下のように未成工事支出金に振り替える必要があります。
*経費については実際は少し複雑な按分計算をして金額を出すのですが、その点は割愛します。
期末にこの処理をやり忘れると費用が実際よりも多く計上されることになり、損益が大きく変わってきます。
上記の例で言えば、1,200,000円費用が多く計上されることになるので税金(法人税等)はだいぶ違ってきます。
ですので、税務調査で厳しく見られるポイントとなっているのです。
税務調査では適切な納税がされているか調べられます。日頃からしっかりと記帳し、正しく納税することが大事です。さて、今日は建設業の税務調査で調べられるところについて説明します。1、税金がもっと多いのではないか? という見方すべての税務調査で言えることですが、税務署の調査官は会社又は個人が支払うべき税金がもっと多いのではないか? という視点で見てきます。ではどのような場合に支払うべき税金がもっと多くなるか?と言うと・収入が抜けている・費用が余分に計上されているのどちらかです。税務調査でこれらの... 建設業の税務調査で必ず調べられる箇所、完成工事未収入金と未成工事支出金 - My タックスノロジー |
税務調査で見つけられると、余計な加算税を払う羽目なるので気を付けるようにしましょう。
未成工事受入金
さて、もう一つ損益に大きく関わるものとして未成工事受入金があります。
冒頭でお話ししましたように、工事のように大掛かりなものはお金がかかります。
ですので、受注した側は請負金額(売上の総額)の一部を、工事途中の段階で受け取ることがあるわけです。
このようにしないと建設業者の費用の支払いがままならないからですね。
未成工事受入金とは、工事を着工してから完成するまでの間に受けた入金のことを言います。
流動負債なので損益には関係ありません。
ちなみに、契約してから着工するまでの間に受けた入金は前受金となりますので、混同しないように注意してください。
さて、注意しなければならないことについてお話ししますね。
期中に受注先から入金があった場合、とりあえず完成工事高(売上高のこと)として入金処理しておく場合が多いです。
例えば、受注先から 1,000,000円の入金があった場合、以下のように処理していることが多いということですね。
決算を迎えたときに、この工事が完成して引き渡し済みか必ずチェックするようにしましょう。
そして、完成していない場合には完成工事高として計上したままにすることは間違っています。
未成工事受入金としなければなりませんので、期中の仕訳を訂正する必要があります。
あるいは決算仕訳で次のように、振り替えておけば良いでしょう。
日々経理を行う中で、今期は利益が出そうかどうか? ということを考えると思います。
その際に、工期をしっかり確認して工事が当期に完成するか? チェックするようにしましょう。
もし翌期に完成する予定の工事について入金があったものを完成工事高として処理していた場合、当期の売上の目測を誤りかねませんので注意が必要です。
2、まとめ
建設業は他の業種と比べて動くお金の金額が大きいです。
それゆえ経理の間違いは、売上予想や税金の面で大きく影響してきます。
本記事では特に間違い易く注意が必要な点をあげてみました。
建設業の方は是非参考にして頂ければと思います。
編集後記
最近我が家の一員になった子ネコです▼
名前は「フリスク」、略称「フー」です。
生後3か月、好奇心旺盛です!