スポンサーリンク

売掛金の消し込み 売上額と入金額が異なる場合の処理


会計事務所で勤務し始めた頃は、資産・負債科目の消し込みがよく分かりませんでした。

資産・負債科目のうち、発生時に計上した金額を後日消し込むことになるのは、売掛金、買掛金、未払金などです。

商品を売り上げた時には

(借方)売掛金 21,600 / (貸方)売上 21,600

と売上額を計上し、後日売掛金が預金口座に入金した時には

(借方)預金 21,600 / (貸方)売掛金 21,600

と計上します。

こう仕訳をすることで、売掛金 21,600 が消えます。

スポンサーリンク

1、売上額から手数料が引かれて入金する場合

会計事務所の実務で、顧客の売掛金の処理を確認すると入金額が売上額よりも低い場合があることが多々見られます。

売上額が 21,600円なのに、入金時の仕訳は

(借方)預金 21,276 / (貸方)売掛金 21,276

となっているようなケースのことです。
上記の場合、売上額と入金額には 324 円の差額があります。

会計事務所で勤務し始めた頃は、「金額が合わないから売掛金が消えない(汗)」と戸惑ったりしました。

さて、売上額と入金額が完全に一致しない場合にまず考えるべきことは、「振込手数料が差し引かれていないか?」ということです。

振込手数料というのは、買主が銀行で振込決済をしたことによって生じる銀行への支払いのことを言い、「振込決済という銀行のサービスに対する対価」ということになります。

売主と買主の間で、この振込手数料を売主負担とした場合には、売主の口座には売上金額から振込手数料分が差し引かれた金額が入金されるのです。

振込手数料には消費税が含まれ、金額は一般的に数百円です。

・売上額と入金額の差額が数百円
・その差額を 1.08で割った金額の1の位が0になる

このような↑場合、その売上額と入金額の差額は、振込手数料と考えてまず間違いないでしょう。

殆どの銀行において、振込手数料の消費税抜きの金額は、1の位が0になります。
(自分が経験した限りでは、1の位が0以外となるケースはありません。)

顧客の口座がある銀行の HP を見れば振込手数料の金額な分かるので、確認するようにしましょう。

先に示したケースで振込手数料が 324 円の場合、仕訳は以下のように↓訂正しなければなりません。

(借方)預金 21,276 / (貸方)売掛金 21,600
   振込手数料 324 /

2、売上額から値引きされて入金する場合

さて、売上額から振込手数料分が差し引かれて入金することは多いですが、もう一つ考えられることとして値引きがあります。

売上時から入金時までに、売主と買主の間で取り決められたような場合が該当します。

商品を売り上げた時に

(借方)売掛金 1,685 / (貸方)売上 1,685

と売上額を計上し、後日売掛金が預金口座に入金した時の処理が

(借方)預金 1,600 / (貸方)売掛金 1,600

となっていたような場合、売上額と入金額は一致していません。

また、差額は 85円については、どこの銀行の振込手数料とも一致しないとします。
そのような場合、値引きが考えられますので顧客に確認する必要があります。

売主が買主に対して「端数分はおまけしますよ!」って感じで値引きすることはあるでしょう。

仕訳は以下のように訂正しなければなりません。

(借方)預金 1,600 / (貸方)売掛金 1,685
  売上 85 /

*「売上値引」という科目を作っても良いですが、実務では値引きは売上勘定で処理する場合が多いです。

3、まとめ

以上、会計事務所で勤務し始めた方に向けて、売掛金の消し込みについて売上額と入金額が異なる場合の処理を説明しました。

売掛金は計上した金額が必ず消えなければなりません。

売上額と入金額が一致しないことがあると、慣れていないうちは焦るかもしれません。
実務では振込手数料分が差し引かれて入金するというケースは多く、また値引きもたまにはあります。

金額が一致しない場合も、振込手数料分のズレか値引きか? 落ち着いて原因を探るようにしましょう。