修士論文(税法論文)における引用・参照


修士論文(税法論文)の作成において、形式はきっちり守らなければなりません。

形式というのは、引用・参照のルールのことです。
法律論文の形式は厳密に決められていますので、早い段階で慣れた方が良いでしょう。

法律文献等の出典の表示方法

形式を守っていない論文は、中身も悪いと見なされてしまいます。
想像以上に形式には厳しい世界です。

論文を執筆し始めてから形式に間違いが多いと、指導の際に形式ばかり指摘を受けてしまい、肝心な論文の中身の指導が受けられなくなってしまいます。

実質的な指摘をして貰いにくくなってしまうということです。

なお、他人が書いた文章を自分の文章のように書く(引用・参照を付けない)行為を剽窃(ひょうせつ)と言い、何よりも固く禁じられています。

これは法律論文に限った話ではないです。絶対にやってはいけません。

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1、引用・参照のやり方

「引用」と「参照」の違い

引用・参照はいずれも文章の出典(出どころ)を明らかにすることを意味します。

本文中で、他の文献から引用・参照して書いた箇所に脚注番号を付けて、そのページの下か全てのページの一番最後に文献の情報を形式に従って書きます。

論文で脚注を付けることを、一くくりに「引用」と呼ぶことが多いですが、厳密には引用と参照に別れます。

●引用というのは、他人の文章をそのまま写して「」で括り、脚注番号を付けることを言います。

●参照というのは、他人の文章を自分で要約して脚注番号を付けることを言います。「」では括りません。

一例を挙げたいと思います。

例えば、プログラマについて Wikipedia を見ると次のように書かれています。

—————————————–
プログラミングをする人をプログラマという。プログラミングには一般に、コンピュータ科学を中心としたプログラミングそれ自体についての能力や知識と、書こうとするプログラムが対象とする問題領域などについての能力や知識の、両方が必要である。
—————————————–

さて、この文章を引用する場合と参照する場合を考えてみたいと思います。
法律関係ではなくてすみません。。。あくまで参考ということで。

引用する場合は、「」を付けて文章をそのまま写すことになります。

—————————————–
「プログラミングをする人をプログラマという。プログラミングには一般に、コンピュータ科学を中心としたプログラミングそれ自体についての能力や知識と、書こうとするプログラムが対象とする問題領域などについての能力や知識の、両方が必要である。 」(10)
—————————————–

このように書き、出典を明らかにします。

参照する場合、次のように書けると思います。

—————————————–
プログラミングをするプログラマは、様々な能力や知識を有する必要がある(10)
—————————————–

参照の場合は、ある程度長い文章を要約することになります。

私の場合、実際の修論で参照するときは、元の文章が上記よりももう少し長い場合が多かったです。

さて、引用と参照について上記で説明しました。
どちらも、他人の文章が元になることに変わりはありませんが、状況に応じて使い分ける必要があります。

他人の文章の「てにをは」や「語尾」を変えた程度で、その文章をほぼそのまま持ってくる場合は参照ではなく、「」を付けてそのまま文章を写して引用にすべきでしょう。

上の例で言えば、参照としつつ以下のように書いた場合です。

—————————————–
プログラミングをする人をプログラマといい、プログラミングには一般に、コンピュータ科学を中心としたプログラミングそれ自体及び書こうとするプログラムが対象とする問題領域などについての両方の能力や知識が必要である(10)
—————————————–

この場合↑、元の文章をほぼそのまま持ってきています(赤字の部分を変えただけ)ので、参照ではなく引用にすべきでしょう。

引用と参照の使い分け

次に、引用と参照をどう使い分けるかですが、
自分の場合は、「裁判例の判決要旨」を持ってくる場合は必ず引用にしていました。

また、他人の「学説の重要なポイント」を書く場合も引用が多かったです。

自分の文章の途中で「特定のキーワードのみ」を引用することもありました。

2、孫引きはダメ、必ず原文を読む

孫引きというのは、他人が引用・参照して書いた文章をさらに引用・参照することを言います。

この孫引きも禁止されています。

他人が引用・参照して書いた部分を自分の論文で取り入れたい場合は、必ずその原文(引用・参照元の文献)を入手して、自分で読んだ上で原文から引用・参照をしなければなりません。

特に他人が文献を「参照」して書いた文章は、その人が要約した文章ということになりますが、その要約が正しいとは限りません。

要約と言ってもその人の恣意的な判断(解釈)が入らないとは言い切れないからです。

それをさらに「参照」するとなれば、解釈に対する解釈をすることになり、元の内容からかなり乖離してしまう可能性があります。

原文(引用・参照元の文献)が英語で書かれたものであれば、その原文を読まなければならなくなります。

電子商取引、国内源泉所得、移転価格税制、OECD関係などの国際課税関係のテーマはそいうことも多いかと思います。

3、引用・参照の範囲

さて、引用・参照のやり方について、もう少し詳しく説明したいと思います。

他人の論文を読んだときに、脚注番号が付いている位置を見て、この文章はどこまでが引用・参照して書かれているんだろう? と疑問に思うことがあるかと思います。

一つの文章が全て他の文献を引用・参照して書かれたものではなく、一部分のみが引用・参照して書かれている場合もあります。

さて、以前に私が書いたブログ記事の一部を改良した次の文章を例に挙げて説明したいと思います。

—————————————–
自動車やロボットなどはプログラミングした結果、意図した動きをするか否かはハードを確認しなければ分からず、 また、ハードとソフト(プログラミング)を繋ぐために ECU やマイコンといった電子機器も必要である。
—————————————–

その文章の全てが引用・参照して書かれたものである場合の脚注番号の位置

この場合、文章の一番最後に脚注番号が付きます。

先の文章が全て引用して書かれたものである場合は、このように↓なります。

—————————————–
「自動車やロボットなどはプログラミングした結果、意図した動きをするか否かはハードを確認しなければ分からず、 また、ハードとソフト(プログラミング)を繋ぐために ECU やマイコンといった電子機器も必要である。」(10)
—————————————–

全てが参照して書かれたものである場合は、このように↓なります。

—————————————–
自動車やロボットなどはプログラミングした結果、意図した動きをするか否かはハードを確認しなければ分からず、 また、ハードとソフト(プログラミング)を繋ぐために ECU やマイコンといった電子機器も必要である(10)
—————————————–

その文章の一部が引用・参照して書かれたものである場合の脚注番号の位置

どこに脚注番号が付くかによって、引用・参照して書かれた範囲が異なってきます。

下の位置↓に脚注番号が付いている場合

—————————————–
自動車やロボットなどはプログラミングした結果、意図した動きをするか否かはハードを確認しなければ分からず(10) 、 また、ハードとソフト(プログラミング)を繋ぐために ECU やマイコンといった電子機器も必要である。
—————————————–

脚注番号よりも前の部分が参照して書かれたことになり、脚注番号より後ろは自分の文章ということになります。

下の位置↓に脚注番号が付いている場合

—————————————–
自動車やロボットなどはプログラミングした結果、意図した動きをするか否かはハードを確認しなければ分からず(10) 、 また、ハードとソフト(プログラミング)を繋ぐために ECU やマイコンといった電子機器も必要である(11)
—————————————–

前段の 

 自動車やロボットなどはプログラミングした結果、意図した動きをするか否かはハードを確認しなければ分からず(10)  

の部分と後段の

 また、ハードとソフト(プログラミング)を繋ぐために ECU やマイコンといった電子機器も必要である(11)

の部分は別々の文献から参照して書かれたことになります(文献番号が(10)(11)と違う)。

下の位置↓に脚注番号が付いている場合

—————————————–
自動車やロボットなどはプログラミングした結果、意図した動きをするか否かはハードを確認しなければ分からず、 また、「ハードとソフト(プログラミング)を繋ぐ」(10) ために ECU やマイコンといった電子機器も必要である。
—————————————–

「」内の一文のみが引用して書かれたことになります。他は自分の文章ということになります。

4、まとめ

引用・参照はルールをしっかりと覚えなければなりません。脚注は表示方法を見ながら書くようにしましょう。

引用・参照する文献は、その分野のオーソリティの文献から優先的に引用していくのが鉄則です。
そうすることで、自分の論文の信頼度が高まります。

なお、先にも示したように、引用と参照の使い分けはケースバイケースです。

また

・一つの文章を全て、他の文献から引用・参照して書く
・一つの文章の中の一部分は他の文献を引用・参照して書き、残りの部分を自分の言葉で書く

など、使い方も様々です。

早めに覚えて、使えるようにしましょう。

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